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» 2013年08月16日 19時30分 公開

発電の仕組み(5):なぜなぜ海洋温度差発電、なぜ静止した海水で発電できるのか (3/3)

[畑陽一郎,スマートジャパン]
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海洋温度差発電のメリットは

 海洋温度差発電の電力源としての特徴は、24時間365日、ほぼ一定の出力で運転が可能だと言うことだ。夏季の日中や晴天時に出力が高くなる傾向はあるが、冬季の夜間や雨天時でも出力は一定水準に保たれる。つまり電力源としては現在、原子力発電や石炭火力発電などが担っているベース電源に向くということだ。

 欠点もある。地域偏在型のエネルギーだからだ。海でしか発電できない上に、海水面と深海の温度差が15度以上必要だ。温度差が大きいほど有利である。遠浅の海も向かない。日本付近であれば九州以南であり、最適地はフィリピンの東沖ということになる。クロードが実験施設を置いたキューバ(メキシコ湾)もよい。

海洋エネルギーの資源量は?

 「海洋温度差発電」は海洋エネルギーを使った発電の一方式だ。海洋には潮汐、潮流、海流、波浪(波力)、温度差などさまざまなエネルギーが眠っている。海洋温度差よりも他のエネルギーの方が大量に存在するかもしれない。

 各種の海洋エネルギーの源は、太陽からやってくる光だ。昼と夜が1日1回巡ってくることや、高緯度地域と赤道では日照量が異なることにより、大気(風)と海水の大規模な移動が起こる。

 海洋温度差は日照を直接吸収する海水表面と深海の温度差を利用している。潮汐だけは太陽光と無関係だ。太陽や月の潮汐力(引力の差)によって起こる。潮汐力から取り出せるエネルギー量は太陽光の1万分の1以下だが、十分利用可能な量だ。

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、海洋エネルギーの総量(全世界)についての見積もりを公開している(図3)。図中の数字の単位は「TWh/年」だ。なお、日本の消費電力量は約1000TWh/年、全世界だと約2万TWh/年なので、海洋温度差だけでも全世界の消費電力量の8割はまかなえる計算になる。

種類 理論量的賦在量 変換効率 理論発電可能量
海流 47万 10% 4万7000
潮汐 36万 10% 3万6000
海洋温度差 31万 5% 1万6000
波浪 3万6000 10% 3600
(風力) 350万 20% 70万

 図中にある「理論的賦在量」とはどのような意味だろうか。理論的とはいうものの、ごく荒い仮定に基づいた単純な計算によって導かれた数字だ。例えば波浪の計算方法はこうだ。全世界の海岸線は36万kmあり、うち利用可能だろうと考えられる17万kmについて、波の出力を足し合わせていく。なお海岸1m当たりの波の出力は10〜60kWだという。

 図3の数字は取り出し可能なエネルギーの上限だ。資金調達の問題や技術開発の遅れ、法制度による制限により、理論発電可能量を全て得ることは不可能なものの、開発する価値があることは分かる。なお、変換効率の値は評価時に適切だと考えられた数字であり、理論上限を示すものではない。

 図3は全世界のエネルギー量だ。日本近海に限った値はどうなっているのだろうか。海洋温度差発電委員会の試算によれば、200カイリの経済水域内には年間100TWhの海洋温度差エネルギーが存在するという。

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