北陸で初めての天然ガス火力発電所、CO2を6割減らして2018年度に運転開始へ電力供給サービス

今後の火力発電で主流になる天然ガスを燃料に使った発電所の建設が全国各地で活発になってきた。これまで石油と石炭に依存していた北陸電力でも初めての天然ガス火力発電所を富山県に建設する。従来の石炭火力と比べて発電能力が17万kW増える一方、CO2排出量は6割も少なくなる。

» 2013年09月12日 13時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 現時点で天然ガスの火力発電所を保有していない電力会社は、全国10社のうち北海道と北陸の2社だけになった。北海道電力は2019年度から稼働させる計画を進めているが、北陸電力は一歩先に2018年度に運転を開始する予定だ。9月10日に「環境影響評価準備書」を経済産業大臣に提出して、建設に向けた動きを本格的に開始した。

図1 「富山新港火力発電所」の全景。出典:北陸電力

 北陸電力で最大の「富山新港火力発電所」(図1)に天然ガス火力発電設備を導入する。この発電所では2基の石炭火力と2基の石油火力が稼働中で、合計150万kWの発電能力がある。4基の中で最も早く1971年に運転を開始した「石炭1号機」を廃止して天然ガスに移行する計画だ。

 新たに導入する天然ガス火力発電設備は、各電力会社が相次いで採用しているコンバインドサイクル方式である。この方式を使うと、ガスを燃焼させて発電した後に、燃焼時の排熱を利用して蒸気を発生させて再び発電することができる(図2)。同じ量のガスで多くの電力を作ることができ、しかもCO2などの排出物が大幅に少なくなる。

図2 コンバインドサイクル発電設備。出典:北陸電力

 北陸電力が導入するのは発電効率が59%になる最高レベルのコンバインドサイクル発電設備である。出力は42.5万kWになる予定で、稼働中の石炭火力(25万kW)と比べて17.5万kWの増強になる。一方で電力1kWhあたりのCO2排出量は60%も減る見込みだ(図3)。このほかにも窒素酸化物の排出量が10分の1近いレベルまで減り、硫黄酸化物や煤塵(ばいじん)は排出しなくなる。

図3 発電設備の概要と主な排出物。出典:北陸電力

 さらに北陸電力は石油を燃料に使う2号機(1981年に運転開始)の設備も2017年度までに改良して、天然ガスと石油を混焼できるようにする計画だ。残る2基の設備更新計画は明らかにしていないが、いずれも運転開始が1972年と1974年で老朽化が進んでいる。同様の天然ガスコンバインドサイクル方式に更新するのは時間の問題になってきた。

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