三池炭鉱に2つの巨大メガソーラー、42MWで2014年度末に運転開始スマートシティ

明治から昭和にかけて日本の産業を支えた三池炭鉱は、世界遺産の候補にもなっているかつての一大工業地帯である。その残された広大な遊休地に巨大なメガソーラーを建設する計画が決まった。福岡県と熊本県にまたがる2カ所に合計42MW(メガワット)の発電設備が誕生する。

» 2013年11月21日 07時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 石炭から電力――。とはいっても火力発電所の話ではなく、太陽光発電所の建設計画である。かつて三池炭鉱として栄えた福岡県の大牟田市周辺にある石炭産業の跡地に、2つの巨大なメガソーラーを建設する。三池炭鉱を運営してきた三井グループがソフトバンクグループと共同で事業化に乗り出した。

 建設予定地は有明海に面した工業地帯にある2カ所の遊休地で、隣接した区域にあるが1カ所は大牟田市、もう1カ所は熊本県の荒尾市に含まれる(図1)。両方を合わせると約50万平方メートルの面積があり、発電能力は42MW(メガワット)に達する。九州では11月1日から発電を開始した日本最大の「鹿児島七ツ島メガソーラー発電所」の70MWに次ぐ規模になる。

図1 2つのメガソーラーの建設予定地。出典:SBエナジー、三井物産

 2つのうち「ソフトバンク大牟田三池港ソーラーパーク」は19.6MWの発電能力により、年間に2000万kWhの発電量を見込む。もう1つの「ソフトバンク熊本荒尾ソーラーパーク」は22.4MWで2200万kWhの発電量を想定している。2カ所を合計した電力は一般家庭で1万1600世帯の使用量に相当する規模になる。いずれも2014年1月に工事を開始して、2015年3月までに運転を開始する予定だ。

 メガソーラーを建設する用地は日本コークス工業から賃借する。日本コークス工業は旧社名が三井鉱山で、長年にわたって三池炭鉱の中核的な企業だった。近年の石炭産業の衰退に伴って事業構造の転換を図りながら、所有地の再利用を進めている。

 三池炭鉱があった大牟田市を含む有明海の沿岸地域は日照時間が長く、全国平均を1割以上も上回る発電量が期待できる有利な場所である(図2)。すでに周辺には複数のメガソーラーが稼働中で、新たに太陽光発電の集積地に生まれ変わりつつある。

図2 福岡県内の月間平均日照時間(大牟田市は最南端)。出典:福岡県企画・地域振興部

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