滋賀県は琵琶湖南端の人工島「矢橋帰帆島(やばせきはんとう)」の遊休地をメガソーラーとして利用する。京セラグループが出力8.3MWの発電所を2015年9月までに立ち上げる計画だ。
琵琶湖には小さいながら幾つかの島が浮かぶ。最も有名なのは北部の竹生島だろう。最南端には人工島「矢橋帰帆島(やばせきはんとう)」がある。
矢橋帰帆島は草津市沖の公有水面を埋め立てて作られた面積0.73km2(73ha)の島だ。現在は下水を処理する湖南中部浄化センターと矢橋帰帆島公園が立地する。島の南部にあった旧パークゴルフ場(県有地、約10ha)を発電所に変え、県有施設の維持管理費軽減に役立てるため、滋賀県は2013年10月、大規模太陽光発電の設置運営事業者の募集を開始した。
2013年12月には公募に応じていた京セラと京セラTCLソーラーが選ばれ、基本協定を締結。出力8.3MWという滋賀県最大のメガソーラーが立ち上がる(図2)。
滋賀県は2013年2月に「再生可能エネルギー振興戦略プラン」を策定しており、メガソーラーなどの再生可能エネルギーによる発電量を、2030年までに2010年比で20倍の規模に拡大する計画だ。滋賀県によれば、運転中の発電所と、完成予定日が決まっている計画を合わせて、2013年12月11日現在で県内に22カ所のメガソーラーがある。出力は合計で34.45MW(いずれも矢橋帰帆島を含まない)。今回の計画が県にとって大規模なものであることが分かる。
メガソーラーに関与する企業は、京セラグループ3社と東京センチュリーリース(TCL)、発電事業者である京セラTCLソーラーである(図3)。京セラはメガソーラーの企画と立案にあたる。京セラコミュニケーションシステムが設計と施工を担当する。京セラソーラーコーポレーションは調達と管理・運営を担う。ファイナンスに責任を持つ東京センチュリーリースは発電所の設備を所有し、京セラTCLソーラーにリースする。なお、県有地の賃貸契約を滋賀県と結ぶのは京セラTCLソーラーだ。
メガソーラーには京セラの太陽電池モジュールを約3万4000枚設置する。付帯設備として、災害など非常用の電源を設置し、矢橋帰帆島公園の整備も行う。公園にソーラー案内板やソーラー外灯、時計を設置するという。
今後は2014年3月にメガソーラー事業について本協定を結び、同8月、工事に着手。2015年9月に発電事業を開始する予定だ。想定年間発電量は約850万kWh。固定価格買取制度(FIT)を利用し、調達価格は37.8円(税込)になる予定。関西電力などの電気事業者に20年間売電する計画だ。
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