「27カ所目」で初めて1MWを超える、京セラが福島の郡山で自然エネルギー

京セラはこれまで太陽電池を自家消費用として26カ所のグループ拠点に設置してきた。全てミドルソーラー規模である。27カ所目は事情が異なる。初めて1MWを超え、固定価格買取制度(FIT)を利用するからだ。

» 2013年10月09日 07時00分 公開
[畑陽一郎,スマートジャパン]
図1 福島県郡山市と発電所の位置

 京セラは太陽光発電システムに必要な太陽電池モジュールなどを製造する企業だ。「太陽光発電による売電自体を積極的には推進しておらず、数値目標もない」(京セラ)*1)。それでも自家消費を目的としたグループ拠点への太陽光発電システムの設置には熱心であり、「これまで26カ所の拠点に設置してきた」(同社)。

 27カ所目の事例はこれまでとは違う取り組みとなった。京セラは2013年10月、グループ企業の京セラケミカルに出力1.5MWの太陽光発電システム「京セラケミカル郡山工場太陽光発電所」(郡山市待池台)を設置したと発表した(図1)*2)。グループ拠点への設置容量が初めて1MWを超えた。グループ拠点に設置したシステムとして初めて、固定価格買取制度(FIT)を利用する。

環境対応も重視

 設計・施工を京セラソーラーコーポレーションが担当、施工では奥村組、電気工事では郡山電機製作所も加わった。2013年5月に着工して4カ月で完成。2万4000m2の敷地に京セラの多結晶Si(シリコン)太陽電池モジュール(242W)を6216枚置いている(図2)。

 環境面の配慮は2点ある。1点目は資源のリユースを考えて、スチールではなくアルミ製架台を採用したことだ。2点目は雑草を産業廃棄物として扱わなければならない地域に立地するため、防草シートと砂利を組み合わせて敷地内の植生を防いだことだ。

 完成後の管理・運営は京セラケミカルが担当する。想定年間発電量は156万4000kWhであり、全量をFITによって東北電力に売電する。売電単価は1kWh当たり42円(税込み)であり、年間の予想売電額は6240万円。

図2 京セラケミカル郡山工場太陽光発電所の外観。出典:京セラ

*1)鹿児島に建設中の太陽光発電所(70MW、関連記事)やSBエナジーなどと取り組む大阪府の発電所(19.6MW、関連記事)などの事例はあるものの、中期事業目標には発電事業の数値目標が記されていない。

*2) 郡山工場には16kWの太陽光発電システムが既に導入されており、26カ所の先行事例に含まれている。同システムは工場内の自家消費に充てられており、今後も利用が続くとした。

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