電力供給に占めるシェアが高まり続ける新電力。2016年の電力完全自由化後はさらに存在感を増すと考えられている。丸紅は自社電源の強化に動き、2014年1月に火力発電所を買収。今後も電力供給能力を高めていく。
2016年の電力完全自由化をにらんだ企業の動きが活発になってきた。これまでは自由化されていなかった家庭などを含む低圧電力の巨大な市場が開けるからだ。
具体的な動きとしては電力小売のための企業設立や、自社電源の新設、増設、確保である。丸紅は国内火力発電資産の運営・管理を担う丸紅火力を設立、2014年1月には同じ特定規模電気事業者(新電力)であるF-Powerから中袖クリーンパワーを買収した。中袖クリーンパワーが保有する天然ガス焚き複合火力(コンバインドサイクル)発電資産を確保するためだ(図1)。
「電力小売の拡大する見込みがあり、自社の事業を確保するための第1弾として買収に踏み切った。今後は発電所をさらに追加し、新設も含めた事業拡大を狙う」(丸紅)。
丸紅は現在2カ所の発電所を確保している。川崎グリーンパワー発電所(川崎市、火力)と三峰川発電所(長野県伊那市、水力)であり、出力は合計して6万kW。これに中袖クリーンパワーの10万kWが加わる。
「中袖クリーンパワーの電力の年間販売量は4億kWh程度を予定する」(丸紅)。従来は中袖クリーンパワーが発電した電力の一部をF-Powerが顧客に供給、残りを丸紅が買い取り、やはり顧客に供給していた。今回の買収により、全量を丸紅が確保できる。これにより、供給電力量ではエネットに次いで新電力2位となる形だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.