国内有数のスキー場があることでも知られる岩手県の雫石町で、大規模なメガソーラーの建設計画が決まった。発電能力は25MW(メガワット)を予定していて、東北でも最大級になる。スイスの発電事業者エトリオン社が日本国内の事業拡大に向けた第1弾として取り組む。
メガソーラーを建設する場所は、雫石町(しずくいしちょう)にある51万平方メートルの民有地である。すぐ近くには日本の酪農を代表する小岩井農場が広がっている。この自然豊かな高原の中に25MW(メガワット)の巨大なメガソーラーを建設する計画が始まった(図1)。
スイスのジュネーブに本社を置くエトリオン(Etrion)社が手がけるプロジェクトで、2015年までに日本国内で100MW以上のメガソーラーを建設する計画の第1弾になる。エトリオンはイタリアで17カ所のメガソーラーを運営する実績を生かして、太陽光発電が有望な日本とチリでも事業拡大を目指している。
雫石町に建設するメガソーラーは2015年10月の運転開始を予定している。発電した電力は全量を東北電力に売電する計画だ。発電開始までの総事業費は76億7000万円を見込んでいる。
エトリオンは日立ハイテクノロジーズと合弁会社(エトリオン85%、日立ハイテク15%)を雫石町に設立して事業を進める。建設工事は地元企業に優先して発注するほか、町内の児童に施設見学の機会を提供して環境教育にも貢献する。
このプロジェクトの大きな課題は、年間を通して安定した発電量を確保できるかどうかだ。スキーの本場で知られる雫石町は豪雪地帯にあって、年間の日照時間が短く、積雪による発電量の低下も懸念される。
エトリオンがイタリア国内で展開しているメガソーラーは中部から南部の温暖な地域に集中していて、寒冷地の実績は見あたらない。日本では積雪対策を含めて地域特性に合った発電設備の建設・運営に挑むことになる。
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