起伏がある土地に巨大な太陽光発電所、どうやって?自然エネルギー

サニーヘルスは国内第3位の規模となる出力26.2MWの大規模太陽光発電所を立ち上げる。ゴルフ場の跡地を利用するものの、造成費用は抑えたい。EPCを担当するJFEエンジニアリングが杭と一体になった架台を採用し、実現する。

» 2014年02月05日 07時00分 公開
[畑陽一郎,スマートジャパン]
図1 福島県須賀川市と発電所の位置

 健康食品や化粧品を扱うサニーヘルスは、太陽光発電システムにも注力している。2014年2月には、交流出力26.2MWという「サニーソーラー福島中央発電所」(福島県須賀川市狸森)の工事が始まった。2015年3月の完成を予定する(図1)。サニーヘルスによれば、2014年1月末時点で国内第3の規模に相当するという。

 想定年間発電量は2600万kWhであり、一般家庭の8000世帯分に相当する。須賀川市の30%以上の世帯に電力を供給できる計算だ。固定価格買取制度(FIT)を利用して、全量を東北電力に売電する。

 発電所を建設する土地は、福島空港ゴルフクラブの跡地であり、面積は約76万4000m2。サニーヘルスが2012年12月に1億6000万円で調達したもの。

 同社は発電所の総工費として80億円を投じる。提案型公募の結果、JFEエンジニアリングとオリックスの企業連合が受注。JFEエンジニアリングがEPC(設計・調達・建設)を担当し、オリックスが建設に必要な資金をファイナンスする。

造成工事はコストアップ要因

 元ゴルフ場を利用するとなると、プレーに趣を与えるために設計された土地の起伏が課題になる。メガソーラーに最適なよう、平たんに造成するとコストがかさむ。

図2 サニーソーラー福島中央発電所の完成予想図 出典:JFEエンジニアリング

 そこでJFEエンジニアリングは公募の際に土地の形状を生かした設備を提案した(図2)。「提案内容は2つある。まず、土地の形状を1m幅で測量し、太陽電池の最適配置を設計した。次に杭と架台が一体となった設備を利用し、コストダウンを計った」(JFEエンジニアリング)。同社によれば、起伏が激しい地形で杭を4本用いる通常の架台を利用すると、かえって架台の安定性が失われるのだという。そこで、2本の杭を備える架台を採用することで安定性を高めた。ドイツSchletter(シュレッター)の架台を用いる。

 太陽電池モジュールの利用数量は約10万5000枚。韓国ハンファQセルズの製品を用いる。パワーコンディショナーは、東芝三菱電機産業システムから調達する。台数は非公開。

既に5.2MWのメガソーラーを手掛ける

 「サニーソーラー福島中央発電所は当社が新規建設から売電までを手掛ける初のプロジェクトである」(サニーヘルス)。同社は2012年から太陽光発電事業への取り組みを開始し、既に3カ所で発電事業を進めている。いずれも着工後などに取得した設備だ。

 3カ所の合計出力は約5.2MW。鹿児島県鹿屋市(2.4MW)、同垂水市(1.5MW)、青森県八戸市(1.3MW)である。

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