「燃料0」で世界一周、ボーイング747より大きな?飛行機自然エネルギー(2/3 ページ)

» 2014年04月15日 07時00分 公開
[畑陽一郎,スマートジャパン]

蓄電池性能やシステム効率も高い

 もう1つの動力源は夜間飛行に使うリチウムポリマー蓄電池。重量エネルギー密度は260Wh/kgとこちらもかなり高性能である。ただし、かなり重い。633kgもあり、これは飛行機の自重の4分の1以上に達する。160kWh以上の電力を蓄えるため、充電深度と温度の管理が重要だという。電池容量は日産自動車「リーフ」のほぼ7台分だ。

 飛行機の推進力を生み出すのは4つのブラシレスモーター。1基当たりの出力は17.4馬力(13.5kW)ある。翼の下にナセルが設けられており、先ほどの蓄電池と一緒に格納されている。モーターは減速ギアを通じて直径4mの2枚羽根のプロペラを回転させる(毎分525回転)。

 同社によると、Solar Impulse 2のシステムエネルギー効率は非常に高く94%に達し、これは世界でも最も効率の高いシステムなのだという。

初号機は世界記録を8つ保持

 Solar Impulse 2(HB-SIB)は、いきなり完成した機体ではない。原型機であるSolar Impulse(HB-SIA)をまず7年かけて開発した。同機は8つの世界記録をたたき出している。2010年に連続26時間の飛行を実現、2012年の二大陸横断(スイス・モロッコ間、図4)、2013年には米国横断も成し遂げている(図5)。

図4 アルプスの高峰を越えて飛行 出典:Solar Impulse
図5 サンフランシスコ上空を夜間飛行(2013年4月) 出典:Solar Impulse

 HB-SIAの重量は1600kgであり、2号機の7割程度の重さだ。1万2000セルの太陽電池を備え、400kgのリチウムイオン蓄電池を搭載している。出力10馬力のモーターを4基備える。

 Solar Impulseの経験があったからこそ、さらに5年をかけて、Solar Impulse 2の完成に至ったのだという。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.