エネルギー自給率75%のスマートハウス、停電時にも6000Wの電力を供給電気自動車

電気自動車と太陽光発電を利用した災害に強いスマートハウスを積水化学工業が発売した。2種類のパワーコンディショナーを標準で装備して、停電時でも最大6000Wの電力を住宅に供給することができる。エネルギー自給率が最大75%まで高まり、年間の光熱収支は33万円以上のプラスになる。

» 2014年05月09日 07時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 積水化学工業が5月1日に発売した「グランツーユー V to Heim(ブイトゥハイム)」は、電気自動車(EV)と太陽光発電(PV)の2つのVから住宅へ電力を供給することができる(図1)。EVとPVからの直流の電力を交流に変換して家電機器で利用できるように、EVとPVそれぞれで専用のパワーコンディショナーを標準で装備するのが特徴だ。

図1 電気自動車(EV)とスマートハウスによる電力供給システム。出典:積水化学工業

 昼間に太陽光発電の電力が余った場合には、電気自動車に充電して夜間に住宅で利用する。住宅の屋根に大容量の太陽光発電システム(出力11.44kW)を搭載して、電気自動車に日産リーフ(充電容量24kWh)を使うと、標準的な家庭で利用する電力の75%を自給できる見込みだ(図2)。

図2 太陽光発電と電気自動車によるエネルギー自給率(売電しない場合)。出典:積水化学工業

 単価が安い深夜電力を電気自動車に充電しておくことで、電気料金を大幅に削減することもできる。積水化学工業の試算によれば、太陽光発電の余剰電力を売電する収入が電気料金を上回って、年間の光熱費は33万円以上のプラスになる。電気自動車の燃料費(電気料金)も年間に約1万円で済み、通常のガソリン車と比べて7分の1以下に抑えられる。

 エネルギーの自給率が高くなれば、停電時の電力供給能力も大きくなる。住宅内の家電機器を最大で6000Wまで同時に利用できて、ほぼ通常通りの生活が可能だ(図3)。太陽光発電の電力を電気自動車に充電できるため、停電が数日間にわたって続いた場合でも、昼間の電力を充電して夜間に供給することができる。

図3 停電時に利用できる家電機器の組み合わせ例。出典:積水化学工業

 パワーコンディショナーの運転モードは目的に合わせて3種類を使い分ける。太陽光発電による余剰電力を夜間に利用する「グリーンモード」と売電する「エコノミーモード」のほかに、停電時に電気自動車から電力を供給する「非常運転モード」がある。各モードは住宅の室内からリモコンで操作することができる。

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