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» 2014年07月18日 13時30分 公開

太陽光を改善する「21の方法」、長寿命化や熱利用自然エネルギー(3/3 ページ)

[畑陽一郎,スマートジャパン]
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うまくリサイクルしたい

 現在大量に導入された太陽光発電システムは将来、交換、廃棄の時期を迎える。太陽電池モジュールをリサイクルする技術は実現している(関連記事)。今後はより効率のよい技術が必要だとした。「太陽光発電リサイクル技術開発プロジェクト」の目的は、システムに含まれる希少な物質(有価物)を廃棄せず、売買すること。さらに有価物の回収率向上や価値が高い状態で回収できることを目指す高純度化技術も開発する。4つの技術開発と4つの調査を含むプロジェクトだ。

 プロジェクトの数値目標は低コスト化についてのみ定められている。2014年度末までに年間200MW処理した場合の分解処理コストを5円/W以下にできるような技術を確立することだ。

 一般的な結晶シリコン太陽電池モジュールの構造はこうだ。表面から裏面に向かって順に見ていくと、まず強化白板ガラスがある。次に封止用(接着用)樹脂の層がある。EVAと呼ばれる樹脂だ。樹脂層の中にはシリコン太陽電池セルとセル間をつなぐ電線(インタコネクタ)が「浮かんでいる」。裏面は保護樹脂のシートからなる。このような構造を側面の金属フレームが保護している。

 三菱マテリアルは「結晶シリコン太陽電池モジュールのリサイクル技術開発」に取り組む。既存の家電リサイクル工場の設備をそのまま使えることを目的としている。低コストで処理できる取り組みだ。結晶シリコン太陽電池モジュールをローラー破砕機に通して、表面のガラスとシートを剥離させ、それぞれ高品位のまま回収して売却することを目指す。

 東邦化成の「ウェット法による結晶系太陽電池モジュールの高度リサイクル実用化技術開発」では機械的な破砕は行わない。薬剤を利用(ウェット法)したガラスの無傷全量回収を目指す。EVA樹脂と表面の強化白板ガラスを、EVA剥離剤で剥がす形だ。

 市川環境エンジニアリングと鹿島建設、ホンジョーは共同で「結晶シリコン太陽電池の低コスト分解処理技術の調査/開発」を進める。「リサイクル品の高付加価値化を目指し、破砕方法、分級方法、ライン構成の研究開発を行う。まずガラスのみを分離・回収する破砕、回収方法を開発する。その後、残ったパネルよりガラス、その他の回収物を効率的に回収する方法を開発する。以上をベースに、コストを抑えたライン構成を確立する」(NEDO)。

 エヌ・ピー・シーと産業技術総合研究所(AIST)、日本スペリア社が共同で取り組むのは「可溶化法を用いた使用済み太陽電池からの資源回収技術の開発」。「使用済み太陽電池のアルミニウム枠を取り外した後に、太陽電池モジュールのEVAとガラスを切断する。溶媒を用いてEVAを温和な条件下で可溶化してシリコンと金属を回収する。さらに溶融塩電解精錬法および偏析法を用いて太陽電池用高純度シリコンを再生する」(NEDO)。以上の手法を図4に示した。

図4 加熱カッターや溶解技術を組み合わせる 出典:NEDO

 この他の4つは装置や技術を開発するのではなく、調査を進める。みずほ情報総研の「太陽光発電リサイクルにおける国内外動向および評価手法に関する調査」と、三菱総合研究所の「太陽光発電リサイクル動向に関する調査/検討」、イー・アンド・イーソリューションズ、DOWAエコシステム、一般財団法人秋田県資源技術開発機構による「使用済み太陽光発電システムのリサイクル処理を安定的に実施するための課題調査」、萬世リサイクルシステムズの「廃棄物として排出される太陽電池モジュールの効率的な回収システム及び、分別に関する調査/検討」である。


 NEDOの取り組みは太陽電池セルやモジュールの変換効率を高めたり、製造コストを引き下げたりするといった「直球」の技術開発にとどまらない。システムの各部に隠れたさまざまな課題の解決をも目指している。

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