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» 2014年07月18日 13時30分 公開

太陽光を改善する「21の方法」、長寿命化や熱利用自然エネルギー(2/3 ページ)

[畑陽一郎,スマートジャパン]

さまざまな場所で発電したい

 「太陽光発電多用途化実証プロジェクトは7つあり、2013年に採択した12のプロジェクト*2)の追加公募分1つと、太陽光発電の高付価値化の6つからなる」(NEDO)。追加公募分の狙いは、太陽光発電が導入できる余地が大きいものの、導入が進んでいない農業関係を開拓すること。今後は建物壁面と傾斜地、水上も狙う。住宅の屋根に設置したシステムやメガソーラーと同等の発電コスト実現を目指す。高付加価値化とは発電以外の機能や用途を付加した太陽光発電システムを開発、実証することをいう。目標は2020年までに事業費用の10倍以上の市場規模を実現することだ。

*2) 2013年のプロジェクトでは建物の壁面(1件)と農業関連(4件)、傾斜地(2件)、水上(2件)、その他(3件)のプロジェクトを立ち上げた(関連記事)。

 太陽光発電多用途化実証事業を進めるのは福永博建築研究所。「米と発電の二毛作」に取り組む。ソーラーシェアリングの一手法だ。「水田の上空にワイヤーを張り、ワイヤーに太陽電池モジュールを取り付ける。ワイヤー高さは容易に調整可能で、稲作期と休耕期でモジュール数を調整する」(NEDO)。

熱を利用したい

 太陽光発電高付加価値化技術開発事業は熱の利用を図るプロジェクト3つとそれ以外の3つに分かれる。太陽熱だけを利用する製品は「ソーラーシステム」として市場に出回っている。太陽エネルギーの利用方法として、太陽熱利用は優れている。なぜなら、電力は汎用性があるエネルギー形態だが、熱の方が需要は大きいからだ(関連記事)。以下の3つのプロジェクトは電気と熱の両方を得ることが目的だ。

 カネカの「熱電ハイブリッド集光システム技術の開発」は太陽光で熱くなった太陽電池の熱を利用する。雨どいのような形をした集光ミラー(図2)で光を集め、太陽熱で温水を作る(図3)。ポイントは集光の倍率を低くとどめることだ。高倍率を狙うと太陽電池自体の開発が必要になってしまう。低倍率のまま、太陽を1軸で追いかけて発電効率を高める。冷却水で太陽電池を冷やすことでも発電効率が上がる。

図2 集光ミラーの外観 出典:NEDO
図3 開発するシステムの概要(クリックで拡大) 出典:NEDO

 SolarFlameも集光技術を使い、発電と温水製造を狙う。「集光型太陽光発電/太陽熱温度成層型貯湯槽コジェネレーションシステムの開発」だ。集光システムを軽くし、太陽電池には高効率なものを使う。複数の温度の温水を1つの貯湯層に自然に貯める太陽熱温度成層型貯湯槽を採用することが特徴。

 日清紡メカトロニクスも電気と熱を得る。ただし、集光はしない。太陽電池モジュールの裏側をガラスで仕切り、そこで温水を製造する「太陽熱・光ハイブリッド太陽電池モジュールの開発」を進める。

付加価値を加えたい

 次の3つのプロジェクトは発電や熱利用以外の価値を作り出すものだ。

 岡本硝子、エガリムが共同で取り組むのは「採光型太陽光発電ユニットの技術開発」。「ホログラス」と呼ぶ特殊なガラスを使うことが特徴だ。ホログラスは光の回折・反射・屈折に適しており、入射した太陽光を窓ガラス内部で反射させて、窓枠に並べた太陽電池セルに集める。透明に見え、太陽電池は目に入らないにもかかわらず発電可能な窓だ。

 「E-SEG(緊急時自発光誘導デバイス)の開発」に取り組むのは有機系太陽電池技術研究組合。大電力を作り出すというよりも、日常で利用可能な灯火を開発することが目的だ。「有機系太陽電池と蓄電池、発光デバイスを備えたコードレス誘導灯を開発する。直達日照のない北向き面や蛍光灯下の建物内などで優位に使用可能とする」(NEDO)。

 イーダブリュエムジャパンは「グリーン晴耕雨読型分散サーバーの開発」に取り組む。これも発電量の多寡を追求したプロジェクトではない。一般に大電力を消費するデータセンターの課題の解決などにもつながる研究だ。「太陽光発電と計算機をセットにした形態、それを複数連係させた分散型システムだ。計算機の負荷と発電量を見ながら、計算機の負荷が極力減るように、負荷を分散させながら計算処理を行う。計算機のクーリングのための電力消費を抑えた、効率的な再生可能エネルギー利用ビジネスを実現する」(NEDO)。

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