太陽光「発電設備」担保に融資、青森で自然エネルギー

土地を借り受けてメガソーラーを建設する場合、金融機関に差し入れる担保が課題になる。青森県五所川原市の発電所では「ABL」と呼ばれる手法で、担保を確保した。

» 2014年08月27日 11時00分 公開
[畑陽一郎,スマートジャパン]

 みちのく銀行は2014年8月、青森県内の太陽光発電事業に対して、融資を実施したと発表した。商工組合中央金庫(商工中金)との協調融資であり、みちのく銀行が2億円、商工中金が1億5000万円を融資した。

 今回の融資では、ABL(Asset-based Lending、動産・売掛金担保融資)と呼ばれる動産を担保とした手法を用いたことが特徴*1)。「太陽光発電設備を担保とした」(みちのく銀行)。このような手法を用いたのは、太陽光発電事業者が土地を所有しておらず、不動産を担保とすることができなかったからだ(図1)。売電代金の一部を返済に充てる。

*1) みちのく銀行によれば、ABLでは企業の事業そのものに着目し、商品在庫や機械設備、売掛金などの事業収益資産を担保として活用する手法。

図1 ABLを活用した融資への流れ 出典:みちのく銀行

 ABL自体は比較的一般的な制度であり、みちのく銀行は、りんごやりんご果汁、清酒、建設機械、コメ、ホタテ、肉牛などに対して、ABLをこれまで47件活用しており、太陽光発電事業に対しても8件の実績があるとした。

事業費は3億7000万円

図2 青森県五所川原市と発電所の位置

 太陽光発電所事業を進めるのは青森市に本店を置く大成産業。青森県五所川原市が所有する面積約2万8812m2の遊休地(五所川原市豊成)を借り受けて太陽光発電所を建設する(図2)。

 事業費は約3億7000万円。太陽電池モジュールの合計出力1.518MW、系統への出力1.26MWの発電所を建設し、2014年11月に五所川原市内初のメガソーラーの運営を開始する予定だ。固定価格買取制度(FIT)を利用して東北電力に売電する。同社は五所川原市内で、もう1カ所、太陽光発電所の建設を進めているという。

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