大建工業は2014年9月から雑草の成長を抑える防草シート「グラスバスター」の販売を開始した。野立て式の太陽光発電所を建設する際、草を刈り取ってから敷設する。敷設後は除草作業、薬剤の散布とも不要だとした。価格は1m2当たり600〜700円だという。
「幅1m、または2mのシートをまず1列敷き、次の列が10cm以上重なるように専用ピンで固定していく。今夏に試験販売をしており、田畑の法面(のりめん)への設置事例もある」(同社)。図1に設置事例を示す。
グラスバスターの寸法は幅1m(10m巻か50m巻)、幅2m(50m巻)。表面と裏面の色は、白/黒、または緑/黒であり、どちらを表にして施工してもよい。
太陽光発電所は日陰を嫌う。1枚の太陽電池モジュールに影がかかると、モジュール内の幾つかの太陽電池セルが発電しなくなるだけでなく、その周囲の(影がかかっていない)太陽電池セルも発電しなくなることがある*1)。加えて影が掛かると太陽電池モジュールの一部が加熱するホットスポット現象が起こることがある。これは故障発生につながる。雑草対策が必要な理由だ。
*1) 太陽電池モジュールの内部では複数の太陽電池セルがつながっている。セル同士は内部で直列に接続されている。内部で断線したり、太陽電池モジュールの一部に影がかかったときに発電量が0にならないよう、直列の配線の途中に幾つかのバイパスダイオードが取り付けられている。
グラスバスターは太陽光を99.9%遮断するため、シートの下面で植物が成長する可能性が少ない。加えて透水性を備えている(図2)。降雨時に水たまりができにくい。排水設備の負荷が下がる。
遮光性と透水性を同時に満たすため、グラスバスターは3層の構造を持つポリエステル100%の織布で作り上げられている(図3)。織物を構成する繊維の密度は縦方向が4000本/cm、横方向が2000本/cm。繊維であるため、破れにくく、土地に細かい起伏があっても利用できるという。
なお、グラスバスターは太陽光発電所以外にも、庭や駐車場の砂利下に施工することで雑草を抑制できるとした。
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