1円高く買い取る太陽光、スマートハウスの新型もスマートハウス

ミサワホームは2014年10月、余剰電力を販売する同社住宅の所有者に対して、1kWh当たり、東京電力などの一般電気事業者よりも1円高く電力を買い取るサービスを開始すると発表した。政府のゼロエネルギーハウス(ZEH)基準に対応した戸建住宅「SMART STYLE 『S』」も発売した。ZEH仕様を選んだ場合、5.62kWの太陽光発電システムを屋根に標準搭載する。

» 2014年10月10日 13時00分 公開
[畑陽一郎,スマートジャパン]

 ミサワホームは2014年10月、余剰電力を販売する同社住宅の所有者に対して、1kWh当たり、東京電力などの一般電気事業者よりも1円高く電力を買い取るサービスを開始すると発表した。従来は10kW以上の太陽光発電システムを屋根に設置し、全量売電を選択した所有者のみに提供していたサービスである(関連記事)。

 「当初全量売電のみを対象としたのは、買い取る電力の規模を予測しやすく、電力の販売も容易だと考えたからだ。これまで数百件の契約を結び、ノウハウを得たため、余剰買い取りも対象とした。年間4000棟が潜在市場となる」(ミサワホーム)。なお、従来と同様、住宅所有者は電力代理購入サービスを手掛けるエナリスに電力を販売する。

ゼロエネハウスの普及版も

 2014年10月10日には、政府のゼロエネルギーハウス(ZEH)基準*1)に対応した木質パネル接着工法をとる戸建住宅「SMART STYLE 『S』」を沖縄県以外の全国で発売した(図1)。ZEH仕様を選んだ場合、5.62kWの太陽光発電システムを屋根に標準搭載する*2)

*1) 政府は、2020年までに標準的な新築住宅でのZEH実現を目指している。年間の一次エネルギー消費量を正味でおおむねゼロとすることが目的だ。
*2) SMART STYLE Sには10個のプラン(部屋配置などの違い)がある。5.62kWは、建物タイプ/34-2SE-1の場合の値。

図1 SMART STYLE 「S」の外観イメージ 出典:ミサワホーム

 熱性能を高めるために、大きく3つの改善を施した。建物フォルム、断熱性能、微気候デザインだ。屋根は壁面に比べて断熱性能が高いため、屋根面の面積比率を大きくして熱損失を抑える「ECOフォルム」を用いた。合わせて熱の影響を受けやすい東西面の開口面積を抑えた。

 次に断熱用の部材の性能を高めた。壁と床、屋根、サッシとガラスだ。壁と床には寒冷地で同社が使用してきた高性能グラスウール断熱材*3)を用いた。屋根には遮熱性能が高い遮熱屋根パネルを採用した。高断熱サッシと高断熱Low-E複層ガラスも取り入れた。いずれも標準仕様である。これらの工夫によって、UA値(外皮平均熱貫流率)*4)がZEH基準を満たす0.60となったという。

 微気候デザインでは、熱損失を抑えるために建物の東西面の開口部を少なく、南北通風を生かしたという。

*3) 青森県や岩手県、秋田県などで使用してきた断熱材「24Ks 75mmタイプ」。
*4) 2013年10月に施行された経済産業省と国土交通省の「省エネルギー基準」では、熱損失と日射熱の評価基準を大幅に変えている。熱損失では、従来、延床面積当たりの性能(Q値)を評価、新基準ではQ値に代わり、外皮等面積でみるUA値(W/m2K)を採用した。

 「『建物タイプ/34-2SE-1』を選び、ZEH仕様としたときの価格は2000万円(税別)だ。ただし、青森県など寒冷地では断熱材の性能をさらに高める必要がある」(ミサワホーム)。34-2SE-1の建築面積は59.62m2、延床面積は111.16m2(1階、58.79m2(図2)、2階、52.37m2)である。

図2 1階部分のレイアウト(タイプ34-2SE-1) 出典:ミサワホーム

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