OCEAN SPIRALという構想名の通り、構造物の中間部は直径600mの円弧を描くらせん状の「INFRA SPIRAL」が占めている(図4)。7〜8回転して上方のBLUE GARDENと下部のEARTH FACTORYをつなぐ。清水建設はINFRA SPIRALを人、モノ、情報の搬送機構と位置付ける。
INFRA SPIRALは中空スペースを備えており、人の移動や酸素、海底資源の輸送に使うものの、単なる通路ではない。
全長15kmのらせん構造の内部には、海洋温度差発電施設や海水淡水化設備の他、養殖場用の深層水取得設備、深海モニタリング施設を備える。深海探査船の燃料補給基地としても働く。
INFRA SPIRALには水圧がかかるため、厚さ2mの樹脂系(繊維強化プラスチックなど)の型枠兼用外皮の中に、厚さ6mのコンクリートを充填した構造を採る。
洋上接合とコンクリート打設の上、EARTH FACTORYにつながるアンカーケーブルと連動して深海に沈埋する施工法を採る。
OCEAN SPIRALの最深部にあるのは地球資源工場「EARTH FACTORY」。外径1500mのリング状構造物だ。深海研究を深海産業へつなげる場として考案された施設。
二酸化炭素を貯蔵する(低温高圧のため、そのまま液化する)他、海底メタン生成菌を利用して産業廃棄物としての二酸化炭素をメタンに転換する機能を持たせる。海底資源の回収にも役立てる。
EARTH FACTORYにかかる水圧は尋常なものではない。1m2当たり約4000トンだ。基本的な構造はINFRA SPIRALと同様だが、厚みが違う。厚さ2mの樹脂系型枠兼用外皮の中に、厚さ10mのコンクリートを充填する。施工法はINFRA SPIRALとほぼ同じだ。
EARTH FACTORYの立地、つまりOCEAN SPIRALを立ち上げる地点には条件がある。「海底が平たんでなければならない。傾斜地ではEARTH FACTORYが安定しないからだ。この条件が守られるのであれば、日本近海も視野に入る。深度(3000mよりも浅いこと)はそれほど制約にはならない」(清水建設)。地理学上の用語でいうと、深海平原やコンチネンタルライズ(大陸斜面基部の緩やかな傾斜地)が適する。
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