東京都が再生可能エネルギーの拡大に向けて今後10年間の工程表を策定した。需要と供給の両面で推進策を実行することにより、2012年に6%だった再生可能エネルギーの電力利用比率を2024年に20%まで高める。特に太陽光発電を4倍に、業務用のコージェネレーションを2倍に増やす。
日本で最大のエネルギー消費地である東京都が、意欲的な再生可能エネルギーの導入拡大計画をまとめた。10年後の2024年度には都内で消費する電力量のうち20%を再生可能エネルギーで供給できるようにする。政府が掲げる目標は2030年までに20%を突破することで、それを6年早く実現する計画だ。
東京都内の電力消費量は2012年度の時点で約800億kWhにのぼり、日本全体の1割近くを占める。そのうち再生可能エネルギーで供給できるのは約48億kWhで、わずか6%に過ぎない(図1)。しかも大半は東京電力の水力発電所が占めていて、新たな再生可能エネルギーの導入拡大策を実施しない場合には20%まで高めるのに2033年までかかる見通しだ。これでは国が掲げる目標よりも遅くなってしまう。
そこで再生可能エネルギーの供給量を計画的に増やすのと同時に、需要を削減する施策を実施して2024年度までに20%の目標達成を目指す(図2)。供給面では太陽光を中心に都内と都外の発電設備を拡大していく。特に都内の太陽光発電の導入量を2012年度の4倍にあたる100万kWへ増加させる目標だ。
需要面では通常の節電対策に加えて、大規模なビルを中心に太陽熱や地中熱の導入を促進する。すでに地中熱を導入した代表的な例が2012年に開業した「東京スカイツリータウン」で、地域の冷暖房に利用してエネルギーの消費量を年間に44%も削減している(図3)。
このほかに電力と熱の両方を供給できるコージェネレーションシステムを普及させて、電力需要を抑制する考えだ。導入効果が大きい業務用のコージェネレーションを2012年度の2倍の60万kWまで増やす。
再生可能エネルギーでは太陽光・バイオマス・小水力の導入を促進していく。2020年の東京オリンピック・パラリンピックで進展ぶりを示せるように、短期(2015〜2017年)、中期(2018〜2020年)、長期(2021年〜)の3つのフェーズに分けて具体策を実施する。
例えば太陽光発電では2014年3月から開始した「東京ソーラー屋根台帳」を生かして家庭や事業所の導入拡大を図る(図4)。都内の約260万棟の建物を対象に、屋上に太陽光パネルを設置した場合の発電量をもとに適合度を判断できるサービスである。東京都のウェブサイトで自由に利用することができる。
このサービスを広めながら、都内の各自治体と連携して普及策を進めていく。2021年からの長期の施策の1つとして、都内に新築する建築物には太陽光発電の設置を義務づけることも検討する。東京ソーラー屋根台帳では太陽熱を利用する適合度も同時に調べることができる。2018〜2020年の中期の施策として、太陽熱を利用した空調システムの性能向上とコスト低減を推進していく方針だ。
再生可能エネルギーの熱利用では、太陽熱とともに地中熱も活用する。まず東京都が保有する施設に対して「省エネ・再エネ東京仕様」を適用して、通常のオフィスビルと比べてエネルギー消費量を約6割削減できるようにする。この仕様では太陽熱や地中熱を含めて再生可能エネルギーを全面的に導入するのと合わせて、エネルギー管理システムやコージェネレーション装置を使ってエネルギーの利用効率を高める(図5)。
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