東芝が開発した人工光合成用の装置は、大きく2つの部分からなりたっており、どちらの部分も高い変換効率達成に役立っているという(図2)。
図2の左側のブロックでは太陽光を受け取り、水(H2O)を分解して、酸素(O2)と水素イオン(H+)、電子(e−)を生み出している。左のブロックから右のブロックへは水素イオンと電子だけが移動する。
右側のブロックでは二酸化炭素と水素イオンから一酸化炭素(CO)と水を生み出している。一酸化炭素は毒性があるものの、さまざまな化学合成の原料となり、燃料として使うこともできる有用なガスだ。「実験では触媒の表面から一酸化炭素の泡が発生している様子も目視できた」(同社、図3)。
図2の特徴は濃い青で描かれた部分と、濃い黄色で描かれた部分にある。まずは濃い青で描かれた四角形の部分だ。「アモルファスシリコンを用いた3層の太陽電池と同じ材料を用いた(多接合半導体)。それぞれの層が吸収する光の波長は異なる。このため、太陽光に含まれる幅広い波長の光を効率良く吸収できた。従来の人工光合成では太陽光に3%しか含まれていない紫外光だけを利用するものもあった。当社の技術では太陽光に53%含まれている可視光も吸収できる」(同社)。
濃い黄色で描かれた部分の特徴は、nm(ナノメートル)サイズの構造をもつ金ナノ触媒を使うこと。金ナノ触媒の作製条件を検討した結果、二酸化炭素が一酸化炭素に変化する「場」(活性サイト)を増やすことができ、これが効率向上に役立ったという。ナノサイズの構造制御技術と呼ぶ。
同社は2014年12月11日〜13日に東京で開催される展示会「エコプロダクツ2014」に人工光合成関連の展示物を出展する予定だ。
【修正履歴】 記事公開後、図3を追加しました。(2014年12月10日)
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