LIXILは「屋根は資源」であり、屋根から得られるエネルギーで住宅内消費量の多くを賄うことができると考えている。2014年12月には既築戸建住宅の屋根に「高効率太陽熱光ハイブリッドパネル」を設置した実証研究の成果を発表した。冬季の2月に総消費エネルギーの約80%を賄うことができたという。
LIXILは2014年12月16日、集熱と発電を一度に実現できる「高効率太陽熱光ハイブリッドパネルシステム」の実証実験の結果を発表した。戸建住宅の総消費エネルギーの約80%を削減可能であることを実証できたとする*1)。既築住宅をゼロエネルギー化するために役立つ技術だ。
太陽エネルギーの最適ソリューション提供事業を進めるGF技研と共同で、静岡県富士市の戸建住宅(図1)*2)に高効率太陽熱光ハイブリッドパネルシステムを設置、2014年2月から実証実験を開始したもの。
*1) 日本エネルギー学会第23回大会で、同社が発表した「ストック住宅における太陽熱の高度利用に関する実験的研究 その2 実験結果」によれば、2014年2月16日の集熱効率は最大24.5%(平均17.6%)、発電効率は最大11.0%(平均9.5%)。1日当たりの集熱量は16.99kWh、発電量は9.97kWh。その結果、省エネ率は81.1%となった。
*2) 築28年の2階建住宅(延床面積130m2、4LDK)に設置した。木質2X4工法を採用しており、外壁・屋根・床とも50mmのロックウール断熱材を導入している。居住形態は高齢者2人暮らし。
高効率太陽熱光ハイブリッドパネルの外観と構造を図2*3)に示す。単結晶シリコン太陽電池(PV)の背面にアルミニウムの板構造を重ね、そこに蓄熱槽と接続した銅の集熱用パイプを通した形だ。通常の太陽電池モジュールとの違いはもう1つある。太陽電池の表面から熱が逃げないように、風防ガラスを全面に置いた。
パネル1枚当たりの太陽電池の定格出力は135W。集熱部の定格出力は400W。実証実験ではこのパネルを16枚、住宅の屋根に設置した。システム全体として約2kWの太陽光発電システム、約6.4kWの太陽熱温水システムとして機能する。
*3) 日本エネルギー学会第23回大会で、同社が発表した「ストック住宅における太陽熱の高度利用に関する実験的研究 その1 実験概要」より引用。
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