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» 2015年01月15日 13時00分 公開

ガスの小売全面自由化は2017年4月、電力とセット販売が可能に法制度・規制(2/2 ページ)

[石田雅也,スマートジャパン]
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ガス市場の7割を占める上位3社

 現時点でも家庭を含めて都市ガスを販売できる事業者は全国で200社以上ある(自治体を含む)。ただし地域によって偏りが激しく、関東には約90社がひしめく一方で、四国と沖縄には1社しか存在しない(図5)。複数の事業者が集まっている地域でも大手と中小が混在していて、それぞれサービスエリアを分けて共存しているのが現状だ。

図5 一般ガス事業者の分布(画像をクリックすると拡大)。出典:資源エネルギー庁

 2017年4月に小売の全面自由化を実施した後は、この構造が崩れ始める。大手・中小を問わず、電力会社や石油会社などと提携して生き残りを図る動きが活発になる。そうした再編で中心になるのは上位3社のガス会社である。

 市場の規模が大きい関東圏では東京ガス、関西圏では大阪ガス、中部圏では東邦ガスが圧倒的なシェアを握っていて、年間のガス販売量でも他の事業者を大きく引き離している(図6)。3社を合計すると約7割のシェアを占める。

図6 大手10社のガス小売販売量(2012年度)。出典:資源エネルギー庁

 小売事業だけではなくて、導管事業でも規模の差は歴然としている。上位3社はサービスエリアの周辺に多数のLNG(液化天然ガス)基地を保有して、大規模な導管ネットワークを使って大量のガスを供給できる体制にある。政府は事業の規模と形態によって現在の一般ガス事業者を4つのグループに分類したうえで、規制の内容を決めていく(図7)。

図7 調達・供給設備によるガス事業者のグループ分け。出典:資源エネルギー庁

「導管分離」と「発送電分離」を同時に

 特に重要な改革が「導管分離」の進め方である。ガス会社が運営する導管事業を小売事業と分割することで、新規参入の事業者を含めて適正な条件で導管を利用できるようにする。電力会社の「発送電分離」と同様に、小売事業会社と導管事業会社に分割する方法が有力だ。

 現在の政府案では、東京ガス・大阪ガス・東邦ガスの3社だけが導管分離の対象になっている。発送電分離が2018〜2020年に予定されていることから、1年遅れて2019〜2021年をめどに導管分離を実施する可能性が高まっている。電力とガスの小売全面自由化の進展によっては、発送電分離と導管分離を同時に実施することも考えられる。

 これまでもガスの市場は内部の競争よりも電力との競争による影響が大きく、販売価格を抑制する大きな要因になっていた。10年前の2005年あたりまでは、原料のLNGの輸入価格が安くなっていない状況にもかかわらず、ガスの販売価格は下がり続けた。ただし最近の10年間はLNGの輸入価格に連動して上昇している(図8)。

図8 都市ガスの平均販売価格とLNG輸入価格。出典:資源エネルギー庁

 小売全面自由化や導管分離によってガスの販売量が増えていくと、海外から輸入するLNGの調達量が拡大して価格低下につながる期待は大きい。電力会社も発電用の燃料としてLNGの調達量を増やして、その一部をガスの小売事業に割り当てる計画だ。電力とガスを合わせてエネルギーコストが低下することは、企業にも家庭にもメリットは大きい。2017年4月が1つの分岐点になる。

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