屋根に太陽電池を取り付け、両面テープで工期を1カ月短縮自然エネルギー(2/2 ページ)

» 2015年01月15日 16時30分 公開
[畑陽一郎スマートジャパン]
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養生期間が不要な両面テープ

 ダブル接着工法NAI-Xでは養生期間が不要である。冒頭の発言はこの期間短縮を指したものだ。養生期間が不要になった理由は、初期固定接着剤の代わりに、高機能両面テープを採用したためだ。

 図4に専用金具の構造を示す。表面の「底」に見える8個の穴は長期持続性接着剤を逃がすためのものだ。裏面の中心に高機能両面テープがあり、その前後に長期持続性接着剤を配した。図5は専用金具を屋根面に固定した様子を示す。確かに接着剤が逃げている。専用金具の寸法は150mm×50mm×35mm。

図4 専用金具の表面と裏面の構造 出典:XSOL
図5 専用金具を貼り付けたところ 出典:XSOL

強度の高い両面テープ

 両面テープの強度も高いという。「自動車の外装部品や住宅の表札など他業種で採用実績があるテープだ。一般的な両面テープは基材(芯)に紙やプラスチックを採用している。今回は強度が高いアクリルフォームを用いた」(同社)。

 同社によれば採用した両面テープの剪断(せんだん)接着力は約18.7kgf/cm2(温度0度)〜約6.9kgf/cm2(100度)。ダブル接着工法NAI-Xでは太陽電池モジュール1枚当たり、4個の金具を使い、金具1個当たりの両面テープの面積は4cm2ある。従って、この16倍の接着力が得られる形だ*1)。「剪断接着力は垂直方向の力に対する能力を示しており、一般的な施工ではさらに強い力に耐える」(同社)。

 両面テープは伸縮することで接着面の凹凸にも追従する。「屋根面にははっきりと見えないものの、若干のざらつきがある。凹凸に追従するため、施工前に屋根面を研磨する必要はない」(同社)。

 ダブル接着工法NAI-Xを適用することができる屋根は接地面幅が35mm以上ある、88/150/S-60タイプの重ね式折板屋根。屋根勾配は水勾配〜3寸勾配。水平1尺(30.3cm)に対して、3寸(9.09cm)の勾配までである。

 環境対応は以下の通り。地上高11mまでの屋根(風速38m/s以下)であることが条件。塩害対応のため、海岸線から500m以上離れた屋根に設置する必要がある。積雪量は150cm以下に対応する。

*1) JIS Z 1541の1種1号に相当する粘着テープ。太陽電池モジュール固定用途に採用するに当たって温湿度サイクル試験も実施している。以下のような試験を10サイクルくり返した後の剪断接着力は約7.8kgf/cm2だという。80度×16時間→23度×1時間→50度×相対湿度98%×24時間→23度×1時間→−30度×8時間→23度×1時間。

【訂正】 記事の掲載当初、2ページ目の第1段落で「セメダインと共同開発した高機能両面テープ」としておりましたが、これは「高機能両面テープ」の誤りでした。第6段落で「屋根勾配は0〜3寸」としておりましたが、正しくは「屋根勾配は水勾配〜3寸勾配」です。お詫びして訂正いたします。上記記事はすでに訂正済みです。(2015年1月16日)

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