電気自動車の新たな提案、「スマートバーベキューカー」に電気グリルを搭載電気自動車

日産自動車は電気自動車の商用バンをベースに「スマートバーベキューカー」を製作して新たな利用方法の提案を開始した。電気グリルや冷蔵庫などを車内に搭載して、屋外でバーベキューを楽しめる乗り物に仕立て上げた。さらに一般のユーザーから資金を集めて“夢の機能”を追加していく。

» 2015年03月03日 07時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 日産自動車が始めた「究極のスマートバーベキューカー」の開発プロジェクトは、電気自動車ならではの特徴を発揮してユーザー層を拡大することに狙いがある。ベースになる車両は日産自動車が2014年10月に発売した商用バンの「e-NV200」で、乗用車の「日産リーフ」と同様に容量が24kWhのバッテリーを搭載している(図1)。

図1 電気自動車の商用バン「e-NV200」(左)をベースに製作した「スマートバーベキューカー」(右)。出典:日産自動車

 「スマートバーベキューカー」はバッテリーから車内の電気機器に最大1.5kWの電力を供給することができる。後部のトランクを開くと、バーベキュー用のユニットを引き出せる構造になっている(図2)。ユニットの中には電気グリルを内蔵していて、バッテリーが満充電の状態で3〜5時間程度の調理が可能だ。そのほかに冷蔵庫や生ごみ処理機も搭載している。

図2 「スマートバーベキューカー」の利用イメージ。出典:GREEN FUNDING

 さらに一般のユーザーから資金を集めて“夢の機能”を追加するプロジェクトを2月27日に開始した。インターネットで多数の参加者から資金を集める「クラウドファンディング」の仕組みを利用する。3月31日の午前1時までに集まった金額によって5つの機能を実装する計画だ。

 5つの機能の中でバーベキューカーならではと言えるのが「蚊バリアシステム」である(図3)。超音波とアロマを組み合わせて蚊を撃退する。この機能は300万円の資金が集まったら実装することになっている。完成したバーベキューカーは7月に開催する予定のお披露目会をはじめ各種のイベントで展示する予定である。

図3 バーベキューを楽しむための“夢の機能”の1つ「蚊バリアシステム」。出典:GREEN FUNDING

 屋外で使うバーベキュー用のユニットには、上部に太陽光パネルを設置する構想もある。太陽光発電で作った電力をバッテリーに充電して利用時間を長くできるうえに、電気自動車で使う電力を再生可能エネルギーで供給できるようになる。

 電気自動車は通常のガソリン車や新たに登場した燃料電池車と比べて、航続距離の短さと充電時間の長さに難点がある。日産自動車は近距離のレジャー用にバーベキューカーを提案することで、電気自動車の問題点をカバーしながらユーザー層の拡大を図る。

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