高効率のガスコージェネ発電機、出力450kWで総合効率80%超蓄電・発電機器

三菱重工業と東邦ガスは出力450kWのガスコージェネレーションシステムの販売を2015年4月から開始する。電力と温水を同時に供給できる。発電効率42.0%は、400kW級のシステムとしては世界最高クラスだと主張する。

» 2015年03月23日 11時00分 公開
[畑陽一郎スマートジャパン]

 三菱重工業と東邦ガスは共同で開発した出力450kWのガスコージェネレーションシステム「SGP M450-S」「SGP M450-W」の販売を2015年4月1日から開始する(図1)*1)

 発電効率42.0%は、400kW級の同システムとしては世界最高クラスだと主張する。都市ガス13Aの中圧ガス導管(70kPa以上)と接続することで、電力と同時に温水や蒸気を得ることができる。病院や商業施設、オフィスビル、工場などに向く装置だ。起動(始動)時間は40秒、停止時間は冷却時間を含めて3分と短く、BCP(事業継続計画)にも役立つ。

*1) 「当社はエンジンの要素試験、発電セットなどの設計、試作を担当。東邦ガスは試験機による耐久試験の実施、システム評価を担当した」(三菱重工業)。

図1 ガスコージェネレーション発電機の外観(クリックで拡大) 出典:三菱重工業、東邦ガス

 同システムは空気と燃料を混合し、過給機(ターボチャージャー)を利用して圧縮、その後、インタークーラーを利用して混合気を冷却して密度を高めた後、ガスエンジンで燃料させる(図2)。過給機はガスエンジンの排気で駆動する。

 今回の新製品は従来の380kW出力品を改良したもの。特徴は3点。高効率、低コスト、省設置面積だ。ターボチャージャー(過給機)を通過した空気・燃料混合気を冷却する際、従来の1段構成を2段構成にすることで効率の良い熱回収を実現し、総合効率を81.5%(SGP M450-W)に高めた。

 この他、この他3点の改良を加えた。燃焼の最適化、水冷ターボチャージャー、高効率発電機の採用だ。燃焼の最適化では「高効率化・高出力化のために、ターボチャージャーとのマッチングや適切な圧縮比、燃焼室の形状、バルブタイミングを設計・検討した」(三菱重工業)。水冷ターボチャージャーの改良により、過給機本体の耐久性を向上させている。

 低コスト、省設置面積のための工夫は2点ある。まず脱硝設備をほとんどの場合、不要とすることで、購入コストと運用コストを引き下げ、従来品に比べて投資回収年数を短縮したという。「窒素酸化物(NOx)を200ppm以下に抑えるよう、点火時期や空気比(λ)を調整し、最も効率がよくなるポイントで運転している」(同社)という。次に、製品本体を小型化したことで従来品に比べて設置スペースを約20%削減した。

図2 システム構成と主な改良点 出典:三菱重工業、東邦ガス

 2製品の主な仕様は図3の通り。SGP M450-Sは蒸気と温水を得ることができ、蒸気回収効率は17.5%、温水回収効率は21.0%、総合効率は80.5%*2)。SGP M450-Wは温水だけを供給し、温水回収効率は39.5%である。

*2) 図中の※3は、都市ガス13A、低位発熱量41.65MJ/Nm3の時の値。

図3 ガスコージェネレーション発電機(2モデル)の主な仕様 出典:三菱重工業、東邦ガス

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