マグボックスは、非常用の電力源として利用しやすいことに焦点を置いて開発された。そこで重視されたのが、発電するのに必要な水に大きな制限を設けないこと、持ち運びが容易なように軽量であること、非常食などと同程度の長期保管が可能なことだ。
まず水については、きれいな水だけでなく、雨水や川の水、海水でも発電できる。さらに、発電性能が少し落ちるものの、ジュースや炭酸飲料、お茶、尿なども使えるという(図2)。
軽量化で大きな役割を果たしたのが、凸版印刷の「紙製複合容器技術」だ。マグボックスは紙製容器を用いているので、水を入れない状態であれば1.6kgと軽量だ(注水後は2l(リットル)の水が入るので3.6kgになる)。同じ容量となる単一形のアルカリマンガン電池32本分の重量が4.5kgなので、約3分の1になる。
マグボックスに使われているのは単なる紙箱ではない。注入した水と金属マグネシウムが反応して生成される電解液を外部に漏らさないよう、内部にバリアフィルムがラミネートされている。「マグボックスの紙箱は、お菓子の箱などと同じラインで製造されている一般的なものだが、このバリアフィルムとラミネート技術が差異化の要になっている」(凸版印刷の説明員)という。
長期保管については、水を入れない限り発電しないので、いつでも新品同様の発電性能が得られる。保証期間としては、最長10年、推奨5年としているが、原理的にはそれ以上の期間が経過しても発電は可能だ。
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