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» 2015年05月12日 09時00分 UPDATE

エネルギー列島2015年版(4)宮城:太陽光で電力自給率100%に、被災地が最先端のスマートタウンへ進化 (2/2)

[石田雅也,スマートジャパン]
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太陽光発電の認定量が300万kWを突破

 実際に固定価格買取制度の認定状況を見てみると、2014年1月から12月の1年間で太陽光発電設備の規模が4倍以上に拡大した。合計で300万kWを超えて、全国でも第4位に躍進している(図5)。認定を受けた太陽光発電設備がすべて運転を開始すれば、年間の発電量は宮城県内の全世帯が使用する電力量を上回る。太陽光だけで自給率100%も夢ではない。

ranking2015_miyagi.jpg 図5 固定価格買取制度の認定設備(2014年12月末時点)

 復興計画の中で大規模なメガソーラーの建設プロジェクトも続々と始まっている。県南部の亘理町(わたりちょう)では津波の被害を受けた沿岸地域の一部を「産業誘致・再生ゾーン」と位置づけてメガソーラーを誘致した。

 当面のあいだ居住や耕作が難しい防災集団移転跡地や農地を集約した75万平方メートルの用地に、発電能力49.5MW(メガワット=1000kW)のメガソーラーを建設する(図6)。岡山県に本社があるアミューズメント機器メーカーの山佐が200億円の事業費を投入して、2018年の運転開始を目指している。

watari.jpg 図6 亘理町のメガソーラー完成イメージ。出典:亘理町企画政策課

 太陽光発電の標準的な設備利用率(発電能力に対する実際の発電量)を13%で計算すると、年間に5600万kWh(キロワット時)の電力を供給することができる。一般家庭の使用量(年間3600kWh)に換算して1万5600世帯分に相当する規模で、亘理町の総世帯数(1万1750世帯)を上回る。

 同じ南部にある名取市でも、太平洋岸から1キロメートルほどの場所でメガソーラーの建設プロジェクトが進んでいる。震災前は「宮城県農業高等学校」が建っていたところだ。校舎を再建することが難しいため、市内の別の地域に学校を移転した跡地を利用する。

 全国で太陽光発電事業を展開する日本アジアグループが宮城県の公募を通じて発電事業者に選ばれた。30万平方メートルの用地に20MWのメガソーラーを建設する計画だ。周辺には農業用水路がめぐり、農業が盛んな地域だったことをうかがわせる(図7)。2015年度の上期中に着工して、2016年度中に運転を開始する予定である。

natori.jpg 図7 名取市のメガソーラー完成イメージ。出典:日本アジアグループ

 さらに名取市に隣接する岩沼市では「いわぬま臨空メガソーラー」を建設中で、まもなく稼働する見通しだ。同様に津波の被害を受けた農地をメガソーラーに転用した。岩沼市の公募で選ばれた丸紅が事業者になって、最大28.3MWの電力を供給する。

 こうして大規模なメガソーラーが増えていくと、地域の電力供給状態が不安定になる可能性がある。太陽光発電は天候によって出力が変動するためだ。そこで東北電力が国の支援を受けて、大型の蓄電池システムによる出力調整の実証実験に取り組んでいる。仙台市にある「西仙台変電所」に容量が2万kWhの蓄電池を導入して2月から運転を開始した(図8)。

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nishisendai2.jpg 図8 「西仙台変電所」の大型蓄電池システム(上)、火力発電機と組み合わせた出力調整の仕組み(下)。出典:東北電力

 東北電力の本店ビル内にある中央給電指令所から地域の太陽光発電や風力発電の出力を監視しながら、必要に応じて蓄電池と火力発電機の出力を制御する仕組みだ。蓄電池には短時間であれば40MWの電力を充電することが可能で、大きな出力変動にも対応することができる。宮城県の太陽光発電の導入量を拡大するうえで重要な役割を果たす。

*電子ブックレット「エネルギー列島2015年版 −北海道・東北 Part2−」をダウンロード

2016年版(4)宮城:「バイオマス発電がリアス式の海岸へ、太陽光や潮流も地域の電力源に」

2014年版(4)宮城:「千年先へ希望をつなぐ、復興に向けた再生可能エネルギー倍増計画」

2013年版(4)宮城:「被災地をエネルギー100%自給都市に、松島から気仙沼まで広がる再生計画」

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