日立製作所と新神戸電機は、NEDOプロジェクトにおいて共同開発した、1.5MWハイブリッド大規模蓄電システムを、東京電力伊豆大島発電所の電力系統に接続。実証実験を開始したことを明らかにした。
日立製作所と、日立化成のグループ会社である新神戸電機は、2011年から新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、NEDO)の助成事業「安全・低コスト大規模蓄電システム技術開発」で、1.5メガワット(MW)のハイブリッド大規模蓄電システムの開発に取り組んできた(関連記事)(図1)。
開発した蓄電システムは、ピークシフトやピークカットに対応するための電力貯蔵に有利な「高入出力・長寿命鉛蓄電池」と、電圧および周波数の短周期変動を抑制するのに有利な「リチウムイオンキャパシタ」を組み合わせたことが特徴となる。中心となる蓄電の多くを、容量の大部分を占める鉛蓄電池でまかない、鉛蓄電池では対応が難しくなる急激な変動に対してはリチウムイオンキャパシタで吸収する。最適な電流の入出力制御技術を適用することで、短時間で大電力の充放電を可能とし、出力変動の緩和や余剰電力の再利用、周波数の安定化を実現することを目指す(図2)。
今回、同蓄電システムを、東京電力の協力を得て、東京電力伊豆大島発電所敷地内に据え付け工事が完了。電力系統への接続も実施し実証実験を開始した。
風力発電や太陽光発電などの再生可能エネルギーは、需給を一致させるのが難しい他、電圧や周波数の変動により電力系統に与える負担が課題となっている。特に分散型エネルギー社会の実現を目指す上で、大規模な再生可能エネルギーを採用しようとした場合、これらの課題を解決しなければ実現が難しいことが分かっている。
これらの課題解決に対し蓄電システムは有効だと考えられているが、実運用に対しどのような制御技術が必要で、どういった問題が生まれる可能性があるのか、という点については明らかになっていないところもある。
そのため今回、独立した系統であるため再生可能エネルギーの大量導入時に系統への影響が大きい伊豆大島の電力系統に、同蓄電システムを接続し、実証実験を行うことを決めたという。実証試験期間は2015年6月〜2016年2月とし、短周期変動抑制やピークシフトなどの機能や寿命など、蓄電システムの有効性についての検証・評価を行う。蓄電システムの制御技術を確立するとともに、既設発電所の運転への影響なども調べる。さらに、島しょ部のマイクログリッドにおける電力安定供給への貢献度なども検証する(図3)。
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