続く第2世代ではガスタービンと蒸気タービンを組み合わせたコンバインドサイクル(複合発電)方式をLNG火力と石炭火力で実用化する。すでにLNG火力ではコンバインドサイクル方式の発電設備が数多く稼働している。
第2世代のLNG火力は燃焼温度を1700度から1800度、さらに1900度に高めて発電効率を引き上げる方向だ。2020年代の初めには発電効率が57%まで上昇して、CO2排出量は第1世代のA-HATと比べて1割少なくなる(図3)。
石炭火力の場合には石炭からガスを発生させた後に、コンバインドサイクル方式で発電する。「石炭ガス化複合発電(IGCC:Integrated coal Gasification Combined Cycle)」と呼ぶ技術で、2020年代の初めに発電効率を50%まで高める。CO2排出量は第1世代のA-USCよりも1割少なく、現在の石炭火力で最先端の「超々臨界圧(USC:Ultra Super Critical)」と比べると2割削減できる見通しだ。
第2世代の発電技術を開発するのと並行して、発電時に排出するCO2を回収する技術の開発も国を挙げて進めていく。特に重要なテーマは排気ガスからCO2を効率よく分離して回収する方法を確立することである。2020年代に向けて4通りの方法に取り組みながら、CO2の分離・回収コストを現在の4分の1以下に低減させる(図4)。
2020年代にはCO2を回収する技術に加えて、CO2を利用したり貯蔵したりする技術を実用レベルに近づけていく。利用技術の面ではCO2と太陽光を組み合わせたバイオ燃料や化学原料の製造が有望だ。CO2を回収・利用・貯蔵する「CCUS:Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage」が低コストで可能になれば、火力発電に伴うCO2排出量の削減がいっそう進んでいく。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.