先述したホンダの掲げる「つくる・つかう・つながる」というコンセプトには、FCVを中心とした水素の製造・利用に加え、再生可能エネルギーを利用したエネルギーの“地産地消”を実現するというビジョンも含まれているという。
つまり太陽光や風力などの再生可能エネルギーで発電を行い、得た電力で水素を製造する。この水素をFCVの燃料として利用し、さらにFCV自体を“電源”としても使い、CO2フリーなエネルギーの地産地消を実現しようという狙いだ(図4)。これが今回ホンダが下水道展に出展した理由につながる。
ホンダのブース担当者は今回の出展理由について「最近では下水道の汚泥を活用したバイオガス発電なども盛んになっている。下水道施設というのは、他の再生可能エネルギーを利用した発電設備よりFCVを利用するユーザーに近い場所にあることが多い。そこでもし下水道を活用して発電した電力で水素を製造できれば、遠隔地から水素をタンクローリーなどで運ぶよりクリーンなエネルギーの地産地消が実現しやすい。実はFCVと下水道というのは近い存在だと考えている」と説明している。
今回の下水道展におけるホンダの展示は、主催者特別企画「水素社会と下水道」の一環として展示されている。ホンダが下水道展に出展するのは2014年に大阪で開催されたものに続き、今回が2回目になるという。水素社会の実現に向けた各社の取り組みは、さまざまな領域に広がっているようだ。
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