電力自由化で加熱するITシステム争奪戦、海外ベンダーは日本市場をどうみるか電力供給(2/2 ページ)

» 2015年08月07日 09時00分 公開
[陰山遼将スマートジャパン]
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成功モデルは2つ

スマートジャパン 自由化されれば、これまでエネルギー事業に関わりのなかった企業も市場に参入してくる。さまざまなビジネスモデルが考えられるが、海外ではどうった成功事例があるのか。

フラ氏 新規参入事業者は市場が一体何を求めているのかを正しく理解し、自分たちがどういったセグメントのユーザーをターゲットにするのかを明確にすることが重要だ。海外での代表的な成功モデルは2つある。

 1つが既に多くの顧客ベースを持っている事業者が、これを活用して自分たちが提供しているサービスに電力をバンドリングするというモデルだ。もう1つが全く新規のビジネスモデルをつくるというモデルになる。この場合の成功例では、市場動向やニーズをしっかりと研究して、ビジネスを少しずつ成長させていくというパターンが多い。

 日本のエネルギー市場というのは非常に伝統的な市場だ。しかしこの自由化で、新規参入事業者には非常に大きなチャンスがあると考えて欲しい。全く新しいビジネスを展開できる可能性がある。

海外でのノウハウと、素早いソリューション提供を強みに

スマートジャパン 日本のエネルギー市場に向けた戦略として、オラクルが強みとしている部分は何か。

フラ氏 まず1つがわれわれの海外における豊富な実績だ。イギリス、オーストラリア、スペイン、ポーランド、アメリカの一部、カナダなどの地域で自由化の流れが進んできたが、オラクルはこれら全ての地域でソリューションを提供してきた実績がある。こうしたさまざまな経験と知識に基づくベストプラクティスを保有している点が強みだ。

 さらに電力の小売、発送電、エンタープライズまでほぼ全ての領域において、自由化に伴うビジネスの変化に適切に対応するソリューションを提供できる点も大きな強みだ。その提供方法についても、パッケージ型とクラウド型の両方を用意している。例えば新規参入事業者が、低コストかつ素早く勝負を仕掛けたいという場合には、クラウド型で素早いビジネスの展開を支援できる。

 この自由化という激しい市場の変革において重要なのは、スピード感のある変化への対応だ。日本の一部の事業者はこうした変化の重要性を認識しているが、市場全体としてはまだこれからという部分も多い。オラクルとして日本のエネルギー市場は非常に重要だと考えており、われわれにとってもこの変革は大きなチャンスだと考えている。今後さらにリソースを投入して、日本市場に注力していく方針だ。

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