電力比較サイトの本命か、「電気を選ぶ」を常識にする英国発サービスが始動電力供給サービス(2/3 ページ)

» 2015年10月01日 13時00分 公開
[陰山遼将スマートジャパン]

英国の自由化をモデルにしたアルゴリズムが強みに

 エネチェンジは同社 取締役会長であり、インフラ関連事業を展開するエプコ 代表取締役グループCEOの岩崎辰之氏が設立の発起人となっている。同氏は日本の電力自由化に向けた新サービスの開発に向け、自由化で先行する英国で電力のデータ解析を専門とする研究所「Cambridge Energy Data Lab」(以下、データラボ)を2013年に設立した。

 エネチェンジの代表取締役を務める有田氏もデータラボの創設メンバーだ。ここで現在もケンブリッジ大学で日本人唯一の電力データ研究者として活動する城口洋平氏など、6カ国7人のメンバーで英国の電力データ解析を進めながら、電力自由化後に求められるシステムやサービスの研究開発を進めた。その中から電力料金の比較サービスに着目し、日本でエネチェンジを設立するに至ったという。「日本で『電気を選ぶ』を常識にしたいと考えていた」(岩崎氏)。

エネチェンジ 取締役会長の岩崎辰之氏(左)と同社のアドバイザーを務める城口洋平氏(右)城口氏はケンブリッジ大学工学部 都市エネルギー効率化研究グループの博士課程に所属。2012年より電力データ解析と電力関連法制度の研究を進めている。

 日本向けのサービスを展開する上で、なぜ英国が参考になるのだろうか。城口氏は「複数の先進国で電力自由化が行われているが、その内容は各国の歴史や地理的条件によって大きく異なる。英国は地域独占型の電力会社が14社あり、さらに他国から電力を購入しにくい島国であるという地理的条件なども類似しているため、日本の電力自由化や発送電分離の制度は英国のモデルを参考にしたといわれている」と語る。

独自アルゴリズムで高精度な予測を可能に

 こうした英国での研究開発成果と、日本全国に配布した数千の端末から得たHEMSデータを基に独自の電力料金診断アルゴリズムを開発。ユーザーはエネチェンジから、郵便番号、家族構成、生活時間帯、オール家電住宅かどうか、現在の契約電力会社の顧客登録番号などの情報を入力すると、最適な料金プランとその年間電力料金、さらには節約できる金額などの情報を得られる(図2)。診断には郵便番号単位の気象情報、季節変動なども加味しており、地域ごとに高精度なデータが得られるという。

図2 エネチェンジ独自のアルゴリズムで高精度な診断を可能にするという(クリックで拡大)出典:エネチェンジ

 こうしたアルゴリズムに加え、有田氏はエネチェンジのもう1つのアピールポイントとして、元東京電力の執行役員である巻口守男氏や関西電力出身のエンジニア、データラボの研究員をメンバーに迎えるなど、人材面での強みをアピールした。

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