両社は5月に共同販売の検討開始を発表して、9月末までの合意を目指して協議を続けてきた。予定よりも1週間遅れたが、10月7日に業務提携の基本合意書を締結した。双方の販売チャネルを通じて2016年4月から電力と携帯電話・通信サービスを共同で販売していく。
販売チャネルには全国で2600店ある「ソフトバンクショップ」やソフトバンクのオンラインショップのほか、東京電力が1月から開始するウェブサービス「暮らしのプラットフォーム(仮称)」を利用する。電力と携帯電話の料金プランを組み合わせたセット商品や、ソフトバンクの通信・インターネットサービスを加えた共同商品も開発する予定だ。
さらに東京電力はソフトバンクが加盟するポイントサービスの「Tポイント」を導入する(図1)。電力の契約をはじめ東京電力のサービスを利用すると、ポイントが貯まって加盟店で使うことができる。Tポイントは「TSUTAYA」を運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブが運営するポイントサービスで、コンビニエンスストアやファミリーレストラン、ヤフーのオンラインショッピングなどで利用可能だ。
東京電力は同様のポイントサービスとして「Ponta(ポンタ)」に加盟することも決めており、利用者は2つのポイントサービスから選択できる。PontaはNTTドコモのサービスとポイントの交換が可能で、東京電力の利用者はNTTドコモの携帯電話と共通のポイントを貯めることもできる。
東京電力がオンラインの販売チャネルとして活用する「暮らしのプラットフォーム(仮称)」は現在提供中の「でんき家計簿」を発展させて、電力関連のほかに生活情報を幅広く提供する予定だ。Pontaを運営するロイヤリティマーケティングに加えてリクルートと提携して、リクルートの情報サービスと組み合わせる(図2)。
リクルートは自社のポイントサービスを12月からPontaに移行する予定で、ホテル予約サービスの「じゃらん」などがPontaの対象に加わる。東京電力は携帯電話やインターネットサービスの有力企業と組んで家庭向けの市場を死守する狙いだ。同時にガス会社とも提携関係を拡大して商品ラインアップを増やしていく。小売全面自由化に向けた動きが目まぐるしくなってきた。
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