燃料電池“自転車”が登場、空気を取り込んでペダルをアシストする蓄電・発電機器

ドイツの化学工業メーカーであるリンデグループは、燃料電池を使った電動アシスト自転車のプロトタイプを開発した。

» 2015年10月27日 13時00分 公開
[三島一孝スマートジャパン]

 燃料電池や水素インフラなどの開発を積極的に推進するドイツの化学工業メーカーLinde Group(リンデグループ)は、新たな持続可能なモビリティとして、燃料電池を採用した電動アシスト自転車「Linde H2 bike」を開発した(図1)。

photo 図1 リンデグループが開発した燃料電池搭載電動アシスト自転車 出典:リンデグループ

 新開発した電動アシスト自転車には、通常の電池に代わり、燃料電池を搭載していることが特徴だ。搭載した燃料電池は周囲の空気から得た酸素とシリンダー内の水素によって発電する。シリンダー内の34グラムの水素で100キロメートル(km)以上でのぺダリングをサポートすることが可能だ。また、特別に開発した水素補給システムでは、6分以内でシリンダーに水素を補充できるという。

 今回の燃料電池自転車は限定的なプロトタイプとして開発されたものだが、この水素自転車の開発には、最初のアイデアからプロトタイプを製作するまでわずか3カ月で実現したという。燃料電池車(FCV)と同様に、燃料電池自転車は長距離での走行が可能である点と、短い時間での補給ができるという利点を持つ。さらに、充放電サイクルなどにより電池交換をしなければならないというようなことがないという利点があり、電池搭載の電動アシスト自転車よりも優れているとしている。

 リンデグループのCEOであるヴォルフガング・ビューヘル(Wolfgang Büchele)氏は「リンデグループは水素の新たな商業用途の開拓に取り組んできた。Linde H2 bikeは、水素の利用が自動車に限られたものではないということを示した。自転車は水素の興味深い用途の1つだ」とコメントしている。

photo 図2 本体に記された「I run on hydrogen」の文字 出典:リンデグループ

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