水素ステーションはどこまで普及したのか、今後を占う規制緩和と現在地法制度・規制(2/3 ページ)

» 2015年11月04日 07時00分 公開
[陰山遼将スマートジャパン]

水素ステーションの利用イメージをアピール

 HySUTは水素供給インフラの構築とビジネス環境の整備を目的に、2009年7月に設立された法人だ。水素供給による低炭素社会を目指すエネルギー関連企業や自動車メーカーなど、約20の団体・企業で組織している(図5)。

図5 HySUTの加盟企業・団体の一覧(クリックで拡大)

 2009年の設立以降、新エネルギー・産業技術総合開発機構などから委託を受け、水素ステーションやFCV関連技術の研究開発および実証実験などを進めている。今回のSMC2015の出展ブースは、ブースそのものが水素ステーションをイメージしたものとなっており、トヨタのMIRAIや水素供給設備のモックアップが置かれていた(図6〜8)。

図6 HySUTの展示ブース(クリックで拡大)

 ブースでは実際にMIRAIと水素供給設備のモックアップを用いて、水素の充填(てん)を体験することができる(図7〜8)。FCVや水素ステーションの存在は知っていても、実際に水素ディスペンサーを車両に装着し、どのように機器を操作して充填するのかといった一連の流れを具体的に思い浮かべられる人は少ないのではないだろうか。

 HySUTのブース担当者は「水素ステーションやFCVというのはそもそも何なのか、そしてどのように使うのかということを具体的に知ってもらうことが狙い。例えばガソリンを給油する場合の単位はリットルだが、水素の場合はキログラムだということもまだまだ知られていない。さらに“水素は危険なもの”という認識を持たれることもある。しかし水素ステーションには水素漏れや火災を検知する装置が取り付けられており、安全性にも配慮しているという点や、正しく扱えば危険ではないし、さらに安全に扱えるようにするための技術も発展してきているということを来場者の方に理解してもらいたい」と述べている。

図7・8 HySUTブースの様子。トヨタのFCV「MIRAI」への水素充填を体験することができる(クリックで拡大)

 TMS2015では多くのFCVやそのコンセプトモデルが披露されたが、同時開催のSMC2015も含め、このように具体的にFCVと水素ステーションの利用を強く意識したブースは自分が見た限りHySUTのブースのみだった。もちろん自動車メーカーのブースは車両そのものを展示する場であり目玉はFCVだけではないが、欧州メーカーを中心に電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド(PHEV)を展示する際には充電器をセットで設置し、来場者に具体的な利用イメージをアピールしているのが印象に残った。

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