太陽光発電でも規模の大きいメガソーラーの建設計画が続々と始まっている。その中で最大のプロジェクトが「グリーンステップメガソーラー事業」である。島根県と出雲市の所有地を合わせた16万平方メートルの広大な用地に、合計5万枚の太陽光パネルを設置する(図7)。
発電能力は12.9MWで、2015年内に運転を開始する予定だ。完成すれば県内で最大のメガソーラーになる。年間の発電量は1300万kWhを見込んでいて、3700世帯分の電力を供給することができる。出雲市の総世帯数(3万5000世帯)の1割強に相当する。
メガソーラーの建設用地になった「グリーンステップ」は、近くを流れる斐伊川(ひいかわ)の治水対策で生まれた場所だ。放水路の建設で発生する大量の残土を処分した跡地である(図8)。島根県と出雲市が土地の活用法としてメガソーラーを選び、共同で事業者を公募して計画を推進した。
再生可能エネルギーの導入は離島の「隠岐(おき)」でも活発に始まっている。4つの島に合計2万人が暮らす大きな離島では、火力発電が主力の電力源の役割を担ってきた。日本海から島に吹き抜ける強い風と豊富な日射量を生かして、現在は風力発電と太陽光発電が拡大中だ(図9)。ただし天候の影響を受けて出力が変動するために、島内の電力需要に合わせて火力発電を調整する必要が生じてきた。
中国電力は国の補助金を受けて「ハイブリッド蓄電池システム」の実証事業を9月末に開始した。4つの島のうちの1カ所に変電所を新設して、2種類の蓄電池で電力の需給バランスを調整する(図10)。太陽光と風力で変動する電力を蓄電池に充電しながら、需要に合わせて放電する仕組みだ。
2種類の蓄電池のうち1種類は小さな変動に素早く対応する一方、もう1種類は大容量を生かして大きな変動を吸収することができる。国内で初めての取り組みで、その成果は全国の離島に限らず、太陽光と風力が拡大している多くの地域で生かせる期待がある。最先端の変電所には視察で多くの来訪者が見込める。再生可能エネルギーは離島の活性化にも大いに役立つ。
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2016年版(32)島根:「古い水力発電所を再生、太陽光とバイオマスを加えて自給率30%超へ」
2014年版(32)島根:「日本海に浮かぶ4つの島、再エネと蓄電池による電力供給に挑む」
2013年版(32)島根:「森林率78%が生み出す木質バイオマス、日本海の風は77基の大型風車へ」
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