NEDOは、インド電力省などとの間で、ハリヤナ州のパニパット市内でスマートグリッド関連技術の実証事業を実施することで合意した。
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が実施するのは、スマートグリッド関連技術の実証事業と、配電システムの運用ノウハウなどをインドの配電会社に提供するキャパシティ・ビルディング(途上国などの能力構築)事業を併せたもの。これらを組み合わせることで、インドの配電網のスマート化に貢献するとともに、日本技術の普及を目指す。
インドでは経済成長に伴い電力需要が増大する中、インフラ整備の遅れから慢性的な電力不足、長い事故停電時間、盗電・電力メータ改ざんなどが問題となっている。配電会社ではスマートメータなどのスマートグリッド関連技術の導入による配電設備・システムの拡充が喫緊の課題だ。そのため、インド政府がロスの少ない次世代配電網の構築を目指す政策を掲げるなど、スマートグリッド関連技術への関心は高く、現在、インド電力省が主導して14の配電網のスマート化パイロットプロジェクトを推進している。
これまでNEDOは、配電会社が抱える課題の解決に貢献するため、同パイロットプロジェクトの1つであるパニパットを対象としたスマートグリッド関連技術の実証と、日本が保有する配電システムの運用ノウハウなどをインドの配電会社に提供するキャパシティ・ビルディング事業に関する事前調査を行ってきた(図1)。
今回、NEDOは、インド電力省などとの間でスマートグリッド関連技術の実証事業を実施することで合意。この実証事業では、2015〜2018年度までの3年間、NEDOの委託予定先である富士電機、住友電気工業、THEパワーグリッドソリューションの3社と、インドの配電事業者である北部ハリヤナ配電公社が共同で、同州においてスマートグリッド関連技術の実証事業およびキャパシティ・ビルディング事業を実施する。
スマートグリッド関連技術の実証事業では、パニパット市内の一部の顧客にスマートメータを設置し、SCADAと呼ばれる監視制御システムを用い、スマートメータのデータ収集や監視・制御を行うことで、ピークロード低減技術の実証、配電系統監視・制御技術の実証、盗電・電力メータ改ざん・料金徴収漏れなどの配電ロス低減技術の実証を行う。
また、キャパシティ・ビルディング事業では、インドの配電会社が、課題である配電ロスの低減、柱上変圧器故障率の削減、停電頻度の改善などの解決に向けて、日本のスマートグリッド関連技術を効果的に活用できるように、当該技術の使いこなし方を含めた配電システムの運用ノウハウなどの提供を行う(図2)。
これら2つの事業を併せて行うことで、インドの配電網のスマート化に貢献するとともに、日本の優れたスマートグリッド関連技術の有効性を示し、日本技術の普及および日本企業によるインド国内での事業展開の足掛かりとなることを目指す。
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