古くから水力発電が盛んな富山県で新しい発電所が運転を開始した。渓谷を流れる川の上流から水を取り込み、1キロメートルほど下流に建設した発電所まで水路を使って流し込む方式だ。水流の落差は300メートルにもなり、最大で4400kWの電力を供給することができる。
北陸電力が新設の水力発電所としては規模の大きい「片貝別又(かたかいべつまた)発電所」を富山県の魚津市に完成させた(図1)。魚津市内を流れる片貝川の上流と下流を水路でつなぎ、約300メートルの落差を生かして発電する。発電能力は最大で4400kWだが、まず12月11日から3000kW以下の出力で営業運転に入った。
半年後の2016年5月から最大出力4400kWで運転する予定だ。ピーク時には毎秒1.8立方メートルの水流を取り込む。年間の発電量は1740万kWh(キロワット時)にのぼり、一般家庭の電力使用量(年間3600kWh)に換算して4800世帯分に相当する。魚津市の総世帯数(1万6800世帯)の3割弱をカバーすることができる。火力発電を代替することで年間に約1万トンのCO2(二酸化炭素)を削減する効果もある。
発電所から1キロメートルほど上流に取水設備を造成した(図2)。そこから取り込んだ水を発電所まで水路で運ぶ。水路式と呼ぶ方法で、大規模なダムを建設する従来の水力発電所と比べると工事の範囲は小さくて済む。そのぶん環境に及ぼす影響も小さい。
北陸電力が水路式の発電所を新設したのは、同じ魚津市で1998年に運転を開始した「片貝南又(かたかいみなみまた)発電所」以来27年ぶりである。建設工事には2年半を費やした。
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