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» 2016年01月08日 09時00分 公開

水素+再生可能エネルギーで電力と燃料を作る、CO2削減の切り札に2016年の電力メガトレンド(3)(2/3 ページ)

[石田雅也スマートジャパン]

風力や太陽光から水素を作る

 横浜市では風力発電の電力を使って水素を製造するプロジェクトも進んでいる。隣接する川崎市やトヨタグループなどが参加して、臨海部の倉庫や市場を走る燃料電池フォークリフトに水素を供給する計画だ(図5)。横浜市内の風力発電所の電力を利用する方法で、水を電気分解して水素を製造する。

図5 風力発電で水素を製造して燃料電池フォークリフトに供給する実証プロジェクト(画像をクリックすると拡大)。出典:トヨタ自動車ほか

 製造した水素はタンクに貯蔵してから、圧縮した状態で運搬用の車両に搭載して、燃料電池フォークリフトがある倉庫や市場まで運んで利用する。再生可能エネルギーで作った水素を地域内に供給するまでのサプライチェーンを構築することがプロジェクトの目的だ。2016年度から4年間かけて実証に取り組んでいく。

 同じ地域にある川崎市では、太陽光発電の電力から水素を製造する実証事業が2015年4月に始まっている。臨海部にある公共施設の敷地内に太陽光パネルを設置して、水を電気分解して水素を製造する仕組みは同様だ(図6)。

図6 川崎市の公共施設に設置した水素エネルギー供給システムと太陽光パネル。撮影:スマートジャパン

 ここで利用する水素の製造システムはコンテナに収納した自立型で、内部には水素の貯蔵タンクと給水タンク、さらに蓄電池と燃料電池を搭載して電力と温水を作ることができる(図7)。貯蔵した水素を燃料電池に投入すれば、太陽光で発電できない状態でも300人分の電力と温水を1週間にわたって供給することが可能だ。災害時に電力の供給が止まっても、近隣の住民は公共施設を避難所にして生活を続けられる。

図7 自立型の水素エネルギー供給システムの構成。出典:東芝

 東芝が開発した自立型の水素エネルギー供給システムは、長崎県の佐世保市にあるテーマパークのハウステンボスにも導入することが決まった。オランダ風の建物が並ぶハウステンボスの別荘地では、太陽光と風力を組み合わせたハイブリッド発電システムを使って電力を自給自足する実験が2015年7月から進められている(図8)。

図8 ハウステンボスの別荘地に設置した太陽光+風力発電システム(上)、ホテルに導入予定の水素エネルギー供給システムの仕組み(下)。出典:ハウステンボス

 これとは別に2016年3月に開業するホテルの敷地内に、太陽光パネルと水素エネルギー供給システムを設置する予定だ。太陽光発電の電力をホテルで利用しながら、余剰分を水素に転換して貯蔵する。電力が足りなくなった場合には貯蔵した水素で燃料電池を動かして発電することができる。太陽光発電と燃料電池を組み合わせれば、年間を通してホテル1棟分の電力を供給できる見込みだ。

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