自由化時代に必須のスマートメーター活用、英国企業の解析技術を独占展開 : 電力供給サービス
電力料金の比較サイトを運営するエネチェンジは、英国ケンブリッジ大学発の産学連携ベンチャーSMAP Energy社のスマートメーターデータ解析技術について、日本独占利用権を取得した。スマートメーターによるビッグデータを活用した電力事業者向けのデータコンサルティング事業を強化する。
エネチェンジが解析技術の日本独占利用権を取得したSMAP Energy社は、ケンブリッジ大学とケンブリッジ・エナジー・データ・ラボ社が2016年2月に共同設立した産学連携ベンチャー。同大学におけるスマートメーターのデータ解析技術に関する研究成果の実用化を目的に設立された。
同社は電力事業者がスマートメーターから取得したデータの解析サービスである「SMAP(Smart Meter Analytics Platform)」を展開する。SMAPの中核技術となるのは、過去の電力使用量を統計分析し、時間帯毎の電力使用量確率を推定する独自開発のアルゴリズムだ。現在SMAP Energy社ではこの独自アルゴリズムなどについて複数の特許を出願中で、欧州の電力会社と技術検証を進めているという。
この推定データを活用することで、電力会社の発電コストと比較して利益率の高い顧客を抽出、時間帯別料金などの従来と異なる料金メニューにユーザーが移行した場合の電力使用量の変動予測、異常値検知アルゴリズムによる漏電監視・見守りサービスなどさまざまなサービスへの応用が可能になるという(図1)。SMAP Energy社ではこの独自アルゴリズムなどについて複数の特許を出願中で、欧州の電力会社と技術検証を進めている。
図1 SMAPのイメージ 出典:エネチェンジ
2016年4月から始まる電力の小売全面自由化に伴い、日本国内でもスマートメーターの取り付けが進んでいる。エネチェンジ社はこの解析技術の日本事業展開の利用権を取得することで、電力事業者向けのコンサルティングサービスを強化し、電力のビッグデータ活用を推進していく計画だ。
関連記事
電力比較サイトの本命か、「電気を選ぶ」を常識にする英国発サービスが始動
小売全面自由化に向け各社から電力料金プランの発表が始まっているが、同時にこうしたプランの比較サービスの展開も目立ってきた。そのうちの1社であるエネチェンジが戦略方針を発表。自由化で先行する英国で得たノウハウと技術を強みに、2016年4月から始まる電力の小売全面自由化に向けサービスを本格展開する。
複雑化する電力料金プラン、比較サイトが次々に自由化後料金に対応
2016年4月の電力小売の全面自由化を控え、新たな料金プランの発表が相次いでいる。各社が提案する料金プランは低価格化の魅力がある一方で、使用量区分や他サービスとのセット割引など、複雑さが増している。この中で注目を集めているのが電気料金の比較サイトである。
スマートメーターで30分単位の使用量、東京電力が220万の顧客にサービス開始
小売全面自由化を前に東京電力が家庭向けのサービス強化を急ぐ。7月1日から東京都内を皮切りにスマートメーターを導入済みの家庭や商店に向けて新サービスを開始した。30分単位の電力使用量をウェブサイトで確認できるサービスのほか、契約電力の変更にもブレーカの交換なしで対応する。
電力システムとインターネットが融合へ、カギ握るオープンな通信機能
スマートメーターの最大のメリットは、家庭や企業の電力使用状況のデータを生かして有益なサービスを提供しやすくなることにある。電力を消費する機器や管理するシステムとの間で効率よくデータをやりとりできるように、オープンな仕様による通信機能を実装することが電力会社に求められている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.