「地産地消」で関西電力より16%安く、地域特化で挑む「はりま電力」電気料金の新プラン検証シリーズ(21)(1/2 ページ)

電力の小売全面自由化に向け、広い地域で小売事業を展開する既存電力会社や大手の新規参入事業者が続々と新料金プランを発表している。一方で特定の地域に特化し、「電力の地産地消」をアピールして顧客獲得を狙う小売事業者も登場している。兵庫県姫路市のはりま電力は関西電力より最大約16%安くなる電気料金プランを設定し、播磨地域を中心とした電力の地産地消を目指す。

» 2016年02月22日 07時00分 公開
[陰山遼将スマートジャパン]

連載:「電気料金の新プラン検証シリーズ」

 はりま電力(兵庫県姫路市)は、姫路市でガス販売などを手掛けるダイワ2015年に設立した特定規模電気事業者だ。既に高圧向けの電力販売を開始しており、2016年4月からは家庭や小規模な店舗向けなどの低圧向け市場に参入する。

 同社では電力供給に加え、播磨地域を中心に太陽光発電設備で発電した電力の買取も進めている。こうした電力の活用に中心に、播磨地域における電力の地産地消を推進していく考えだ。低圧向けのプランへの申込受付は、2016年2月5日から開始している

※)はりま電力は記事掲載時点で小売電気事業者登録が終わっていないが、現在申請中だとしている。

一般家庭向けは関西電力より最大16%安く

 はりま電力が2016年4月から提供する低圧向けの料金プランは3種類。一般家庭向けの「電灯プランA」、店舗や事務所向けの「電灯プランB」、「低圧電力」の3つを提供する。

 電灯プランAは、関西電力の従来電灯Aを使用する一般家庭に向けた料金プランだ。「基本料金(最低利用金)+電力量料金」という構成は同じだが、従来電灯Aの電力量料金は3段階制なのに対し、はりま電力の電灯プランAでは4段階制になっている(図1)。

図1 はりま電力の「電灯プランA」の料金単価表 出典:はりま電力

 4段階ごとの料金単価を比較してみると、15kWh(キロワット時)超過〜200kWhまでは関西電力の従来電灯Aと同額である。安くなるのは200kWh超過からで、従来電灯Aより20%安い単価に設定した。つまり毎月の電力使用量が200kWhを超えている家庭であれば、乗り換えるとお得になる。300kWh以上の家庭をメインターゲットにする小売電力事業者が多いが、電気使用量があまり多くない家庭も視野に入れた料金プランだ。

 関西電力の従来電灯Aを契約し、毎月の電力使用量が400kWhの家庭が乗り換えた場合、年間の電気料金は11.0%(約1万5000円)安くなる計算だ。使用量が多くなるほどお得になり、800kWhの家庭であれば年間15.9%(約4万7000円)安くなる(図2)。

図2 はりま電力の「電灯プランA」と関西電力の「従来電灯A」の電気料金を比較した図(クリックで拡大)出典:はりま電力
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