太陽光を除く風力・中小水力・地熱・バイオマス発電の買取価格は従来のまま据え置く。とはいえ算定指標の資本費(システム費用など建設にかかるコスト)や運転維持費、設備利用率には変化も見られる。
天候の影響を受けやすい陸上風力発電では、設備利用率が想定値を上回っている。出力が20kW以上の陸上風力発電の設備利用率は20%で想定している。実際に2011年以降に運転を開始した風力発電所の設備利用率は23.9%である(図9)。それ以前の5年間と比べて5ポイントも高くなった。太陽光発電と同様に技術革新によって効率が向上したためと考えられる。
一方で初期にかかる資本費は想定値の30万円/kWと同程度の水準に収まっているものの、稼働後の運転維持費は想定値を大きく上回る状況だ(図10)。資源エネルギー庁が確認できた256件の平均値は想定値(年0.6万円/kW)の2倍以上の年1.6万円/kWになっている。買取期間の20年間では32万円/kWにのぼり、資本費よりも高くなってしまう。特に出力が低くなるほど運転維持費が高くなる傾向がある。
これとは逆に中小水力発電では初期の資本費が想定値よりも高く、稼働後の運転維持費は想定値を下回っている。出力が低い200kW未満、あるいは200kW以上の発電設備でも同様だ(図11)。民間の事業者に比べて、自治体など公共機関が運営する発電設備の資本費が高くなっている。競争入札などを通じてコストダウンが求められる。
出力が1000kW以上の水力発電設備になると新しい導入事例が少なく、想定値と実績値の比較検証は十分にできていない。地熱発電も同様の状況にある。現在の買取価格が適正かどうかは、導入事例が増えてくる数年先にならないと判断がむずかしい。
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