太陽光発電を改善、最高効率から工期半減までスマートエネルギーWeek 2016(2/4 ページ)

» 2016年03月16日 13時00分 公開
[畑陽一郎スマートジャパン]

最高効率のセル技術を適用

 同社は2014年、変換効率25.6%のHIT太陽電池セルを開発したと発表している(関連記事)。この数値は現時点でもシリコン系太陽電池セル(非集光)の世界記録である。展示会では今回採用したセルの構造を図4のように見せていた。これは最高効率を達成したセルと同じ構造だ。

図4 今回採用したHIT太陽電池セルの構造

 モジュール変換効率を高めるために2種類の技術を組み合わせている。「パナソニック独自のヘテロ接合型太陽電池セルを進化(太陽光をより有効活用できるバックコンタクト型を適用)させたことに加えて、そのモジュール化技術(光学的な損失や電気的な損失を低減)を開発した」(同社)という。

 これをセルとモジュールの技術に分けると次のようになる。

  • セル製作技術 25.6%を達成した技術(ヘテロ接合技術+バックコンタクト技術)
  • モジュール化技術 2015年7月に発表した22.5%のモジュール化技術を進歩(光の有効活用技術、低抵抗配線技術)

 この22.5%のモジュールでは、現行製品と同じ構造の量産セル(ヘテロ接合技術、非バックコンタクト)の「進化バージョンセル」を使っている(関連記事)。

 今回の23.8%モジュールは研究開発段階のもの。量産する際、現行の太陽電池セル(図5)とは構造が異なるため、製造設備側の対応が課題となる。同社は「プロセスの追加が必要となるため、現状の生産ラインをそのまま使用することはできないが、活用は可能」とした。

図5 量産中のHIT太陽電池セルの構造 太陽光が入射する側にも電極(表面電極)を配置している。

 今回の太陽電池モジュールは、大規模太陽光発電システムよりも、住宅設置用に強みを発揮するだろう。住宅の屋根の面積は限られており、面積当たりの出力が求められるからだ。

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