ホンダが取り組む「3つのゼロ」、カギを握る水素サイクル:スマートエネルギーWeek 2016(2/2 ページ)
そして「つかう」技術としてFCVの市場投入を進めている。ホンダは世界に先駆けてFCVの研究開発に取り組んできた。1980年代から基礎研究をはじめ、1999年に最初のプロトタイプの自動車を完成した。2002年12月には日本と米国で限定販売を開始。08年には「FCXクラリティ」のリース販売をスタートしている。そして、こうした長年にわたる開発の歴史と市場での経験を元に開発した「CLARITY FUEL CELL(クラリティ フューエル セル)」を3月からリース販売する(関連記事)(図3)。
図3 販売を開始する「CLARITY FUEL CELL」
「CLARITY FUEL CELL」は、搭載している燃料電池スタックは従来型より33%の小型化を図りながら出力は100kW(キロワット)以上、出力密度は3.1kW/l(リットル)と従来比で約60%の向上を実現した。燃料電池パワートレインを、V6エンジンと同等サイズまでコンパクト化し、世界で初めてセダンのボンネット内に集約。これにより、大人5人が快適に座れる、ゆとりあるフルキャビンパッケージを実現している。
同社では今後、FCVが本格的普及するには価格の低減および水素ステーションの整備が重要と考え、「これを実現していくためにも2020年をめどにGMとの共同開発を展開している。またSHSのコストダウンにより水素ステーションの整備に貢献していく」(三部氏)とし、引き続き車と水素供給インフラのコストダウンに取り組む構えだ。これらの活動を進めることで、同社では2030年をめどに四輪車の商品ラインアップにおける販売台数の3分の2程度をHV(ハイブリッド車)、PHV(プラグインハイブリッド車)、FCV、EV(電気自動車)などに置き換えていく方針だ(図4)。
図4 ホンダが目指すFCV普及ロードマップ(クリックで拡大)※出典:ホンダ
- 走り出すホンダの燃料電池車、その未来を左右するGMとの提携戦略
ホンダは新型の燃料電池車「CLARITY FUEL CELL」の販売を開始する。まずは企業や自治体を中心にリース販売を行い、1年半後をめどに一般発売も開始する計画だ。普及が期待される燃料電池車だが、乗り越えなくてはならない課題も多い。ホンダは会見で今後のさらなる普及に向けた課題や取り組みの方針について語った。
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ホンダの市販車用となる燃料電池車「CLARITY FUEL CELL(クラリティ フューエル セル)」がついに公開された。航続距離は700kmで、販売価格は税込み766万円。2016年3月からまず自治体や企業などにむけてリース販売を開始する。
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- エネルギー問題を助ける「水素」、燃料電池車に弱点はないのか
トヨタ自動車が2014年12月15日に発売する世界初の量産型の燃料電池車「MIRAI」。燃料電池車はガソリン車や電気自動車と比較して、どこが優れているのか。優れていたとしても「水素」が弱点になることはないのか。小寺信良がエネルギーからMIRAIを見た。
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