ココナッツ油にヒマワリ油を混ぜ、炭化水素燃料を取り出す技術を開発自然エネルギー

バイオベンチャーのユーグレナは、信州大学との共同研究で植物由来の油から炭化水素燃料を効率的に生成することができる研究結果を確認したことを発表した。

» 2016年03月25日 15時00分 公開
[長町基スマートジャパン]

 一般的に石油製品のように炭素と水素からなる燃料を炭化水素燃料というが、植物由来の油は酸素分子を含むため、炭化水素燃料として利用することができない。そのため、植物由来の油から炭化水素燃料を取り出す際には酸素分子を除くための水素化処理が必要になり、設備投資のコストが増加するという課題がある。

 今回の研究では、植物由来の油から水素化処理を行わずに炭化水素燃料を作り出す方法として、飽和脂肪酸(炭素鎖が水素で飽和されている脂肪酸)を主成分とするココナッツ油と不飽和脂肪酸(二重結合を持つ脂肪酸)を主成分とするヒマワリ油を、触媒で分解反応を起こし炭化水素燃料を取り出す接触分解反応を用いた研究を行った。

 その結果、ヒマワリ油、ココナッツ油とヒマワリ油を混ぜた油について、炭化水素燃料の収率の増加を確認した。これにより、ヒマワリ油のような不飽和脂肪酸を有する植物油は接触分解させると炭化水素燃料を生成しやすいことが分かった。また、ココナッツ油のような飽和脂肪酸を主成分とする植物油は接触分解により炭化水素燃料を生成しにくいが、不飽和脂肪酸を混合することで炭化水素燃料の収率の増加を促進させることが判明した(図1)。

photo 図1 炭化水素燃料の収率 出典:ユーグレナ

 同社は今後も共同研究において、植物油や微細藻類由来の油を生成する研究を進めることで、水素の供給を受けられないようなインフラが限定された地域においても、炭化水素燃料の製造を可能とする技術の開発を目指す方針だ。なお、発表内容に関する結果は2015年11月4日に特許出願をしている。

 ユーグレナはミドリムシ(学名:ユーグレナ)を中心とした微細藻類に関する研究開発および生産管理、品質管理、販売などを展開するベンチャー企業。ミドリムシは食品利用以外にも製鉄所や火力発電所から発生する二酸化炭素の排出削減への活用やバイオ燃料化、飼料化などについても期待されている。

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