冬の電力需要が最も大きくなる夕方18時台の状況を見ると、東日本大震災の直前にあたる2011年の冬と比べて300万kW以上も減少している(図3)。気温の分布にさほどの違いは見られず、家庭や企業による節電効果が大きく影響していることは間違いない。
前年の冬と比べても電力需要は100万kW減っている。家庭用が20〜25万kW、企業の業務用が30万kW、さらに産業用が45〜50万kWの減少である(図4)。業務用と産業用では他社に契約を切り替えた減少分も含まれる。この4月からは家庭を含めて小売の全面自由化が始まるため、今後は家庭用の減少量が拡大することは確実だ。
当面は原子力発電所の再稼働が見込めない状況にある。電力需要が減り続けている中で、関西電力が次の夏と冬の需給見通しをどのような数字で出すのか注目だ。これまで3%台で予測し続けてきた九州電力は川内原子力発電所の1・2号機が再稼働したために、今冬の予備率を8%台に引き上げた。
政府は毎年4月に夏の需給見通しを電力会社からまとめて公表する。現状のままだと関西電力は原子力発電所の運転を織り込まずに需給見通しを出さなくてはならない。いつものように需要を過大に見積もる手法を使いながら予備率を3%台で予測して、原子力発電所を再稼働する必要性をアピールするのだろうか。
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