北海道電力と北電総合設計が木質バイオマスを活用したユニークな高効率発電技術の実証を開始する。木質バイオマスから得たガスを改質して「水素」を生成し、燃料電池で発電する仕組みだ。燃料電池の廃熱をガス化に活用して効率を高め、総合エネルギー効率70%以上を目指す。
北海道電力と同社のグループ企業である北電総合設計は地域に根ざした再生可能エネルギーの導入拡大に向け、2016年度から「小規模木質バイオマス発電実証事業」を開始する。北電総合設計が東京大学、日本森林技術協会と共同で林野庁の補助事業へ応募し実施する事業だ。
一般的な木質バイオマス発電の多くは石炭火力発電と同様に蒸気タービン式の発電システムを採用している。しかし設備が小規模になると発電効率が低下するという課題があり、木質バイオマス発電市場の拡大を阻む1つの課題となっている。
今回実施する実証は「小規模であっても高効率なバイオマス発電システム」の開発を目指すもので、原料に木質チップを使用し、さらに水素製造技術と燃料電池を組み合わせて効率を高めるというユニークなシステムとなっている(図1)。
実証を行う発電システムの概要は以下の通り。まず木質チップを流動層ガス火炉に投入して、800〜1000度で熱分解(ガス化)する。次に一酸化炭素と水蒸気を取り出し、改質器の触媒と反応させ水素と二酸化炭素を生成する。最後に生成した水素と燃料電池で発電を行う仕組みだ。
この発電システムのポイントとなるのが燃料電池だ。使用するのは東京大学が特許を持つ燃料電池で、効率的に廃熱を回収できる機能を持つ。回収した廃熱は木質チップの熱分解利用することで、システム全体のエネルギー効率を高める狙いだ。発電出力は50kW(キロワット)程度となる見込みで、実証では発電効率50%、システム全体のエネルギー効率で70%以上の実現を目指す。このシステム全体については北海道電力、東京大学他で既に特許を出願している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.