下水は省エネにも役立つ、回収した熱で歩道の雪を溶かす省エネ機器(1/2 ページ)

新潟市が新潟市役所周辺のバスターミナルで行った道路融雪設備工事に、積水化学工業が開発した下水熱活用システムが採用された。下水の未利用熱を回収して活用することで、ヒートポンプなどを使用せずに歩道の雪を溶かすことができた。

» 2016年04月15日 09時00分 公開
[陰山遼将スマートジャパン]

 新潟市では低炭素型都市を目指し、市内の移動を自家用車から公共交通機関にシフトすることを推奨している。そこで公共交通機関の利便性を高めるべく、新しい交通システムの導入や交通結節点の整備を進めている。

 新潟市は降雪量は少ないものの、気温が低いため雪が溶けずに残り、通勤や通学の支障となっているケースが多くある。公共交通機関の利便性を向上するためには、融雪された安全な歩道の確保が課題となっていた。そこで同市は2015年2〜6月に新潟市中央区にあるバスターミナルの歩道で、融雪設備の設置工事を行った。

下水から熱を回収、融雪に活用

 一般的な融雪設備ではヒートポンプなどを用い、雪を溶かすシステムを導入する場合が多い。しかし今回の工事では下水から回収した熱で融雪を行うシステムを導入したのが特徴となっている(図1)。未利用エネルギーを活用し、ヒートポンプシステムより省エネで経済的な運用を可能にした。

 採用したのは積水化学工業が開発した「エスロヒート下水熱(管底設置型)」(以下、エスロヒート)。2014年から販売を行っているが、今回が初の採用事例になるという。設置工事は興和(新潟市中央区)が実施した。

図1 「エスロヒート下水熱(管底設置型)」を利用した融雪設備の設置イメージ 出典:積水化学工業

 エスロヒートは約100メートルにわたって下水管の中に沈めて設置した。採熱管として機能し、回収した熱は熱媒体である循環液を通して、歩道表面部に設置した放熱パネルに送られる。この熱で歩道の上に積もる雪を溶かすという仕組みだ。下水から得られた熱のみで融雪を行う(図2)。

図2 「エスロヒート下水熱(管底設置型)」の設置イメージ。写真左が施工前、写真右が施工後 出典:積水化学工業
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