10kW以下に需要あり、小水力発電自然エネルギー(3/4 ページ)

» 2016年05月30日 15時00分 公開
[畑陽一郎スマートジャパン]

導入コストを引き下げる工夫とは

 ダイキン工業は出力22kWや77kWの小水力発電システムを製品化する際、小型軽量化、高い発電性能、低コスト化を重視した。

 河川などに設置する小水力発電システムとは異なり、配管に接続する発電システムでは設置場所に余裕がない。設置面積を少なくすればするほど、導入できる場所が増える。

 そこで、発電機本体の上にコントローラーを載せる形状を工夫した。永久磁石同期発電機と縦型インラインポンプ逆転水車、発電コントローラー(コンバータ、系統連系インバーター)を全て一体化した形だ。設置面積は従来の横型マイクロ水力発電機の半分以下となった(図6)*5)。一体化を進めたものの、分解しなくても摩耗部品を交換可能であり、メンテナンス性は高いという。

*5) 制御盤を除くシステム本体の寸法は高さ1280mm、フランジの面間936mm、奥行き545mm。重量は500kg。

図6 発電機一体型コントローラーを用いる 永久磁石同期発電機の表面に発電機一体型コントローラー(白色)を配置した。 出典:ダイキン工業

 発電性能を高めるため、社内の別事業で開発した技術を応用した。発電機とコントローラーには、空調技術と油圧機器事業で改善を重ねたモーター技術やインバーター技術を適用した。水車の流量制御機能によって、落差(圧力)が変動しても安定した運転ができるという。

周波数変動を吸収する仕組みを盛り込む

 発電機は交流を出力するものの、水車に流入する水の落差・流量条件によって、永久磁石同期発電機の回転数が変動し、発電機からの出力である交流の周波数も変動する。

 「そのため、いったん発電機一体型コントローラー内のコンバータで直流に変換する(図7)。さらに商用電源と接続する(系統連系)ために、外付けのシステム制御盤内の系統連系インバーターで設置地域の系統周波数(50Hz/60Hz)に合致する交流に変換する。従来の一般的な小水力発電では、発電機が一定回転するように複雑な流量調整機構(ガイドベーンなど)やアクチュエータ、調整制御装置が必要で、機械的に系統周波数に合致するように調整している。これに対して、開発した可変速マイクロ水力発電システムでは、ガイドベーンなどがないシンプルで低コストの標準ポンプとパワーエレクトロニクスの組み合わせで、より高精度で安定した系統連系を実現する」(ダイキン工業)。

図7 システムの構成要素全体を設計し直して実現 出典:ダイキン工業

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