倒産広がる太陽光関連企業、2016年前半は前年を上回るペース太陽光(1/3 ページ)

発電設備の設置が急速に拡大した一方、FIT買取価格の値下げが続き、日本の太陽光関連市場は転機を迎えつつある。こうした市場変化により、太陽光関連企業の倒産も増加している状況だ。調査会社の帝国データバンクは日本国内の太陽光関連企業の倒産について、詳細な分析データを公表した。

» 2016年06月10日 07時00分 公開
[陰山遼将スマートジャパン]

 帝国データバンクは2016年6月8日、2006年1月〜2016年5月までに151社あった太陽光関連企業の倒産(法的整理のみ、負債1000万円以上)について、倒産件数・負債総額の推移、倒産態様・負債規模別、資本金別、地域別などの項目別調査を行い、その結果を公表した。

 調査対象である太陽光関連企業とは、太陽光発電システムの販売や設置工事、コンサルティングなど関連事業を主業として手がける企業と、本業は別だが従業として太陽光関連事業を手がける企業の両方を含む。

倒産件数は増加傾向に

 太陽光関連業者の倒産件数は2013年が17件、2014年が21件、2015年が36件と増加している。2016年1〜5月の倒産件数は17件と、前年同期の13件を上回り、年率換算では通年40件ペースと増加基調にある(図1)。負債総額は2013年が47億4800万円、2014年が44億8200万円、2015年が91億2700万円と推移した。

図1 倒産件数と負債額の推移(クリックで拡大) 出典:帝国データバンク

 2012年に「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」(FIT)が導入された。初年度の企業向けの買取価格は1kWh(キロワット時)当たり税別40円、家庭向けは同42円だったが、以降4年連続で価格の引き下げが続いた。2016年度には企業向けが同24円、家庭向けも25〜33円まで下がっている。帝国データバンクではこうした事業環境の変化が倒産件数の増加につながったと分析している。

 なお、151件の倒産を「倒産態様別」でみた場合、そのうちの143件(94.7%)「破産」がとなっている。残りは7件が「民事再生法」で、1件が「特別精算」となってる(図2)。

図2 倒産態様別のデータ(クリックで拡大)出典:帝国データバンク
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