環境面では、政府が地熱発電の促進のために規制緩和を推進。地熱発電の最適地はほとんどが国立・国定公園内に存在しているが、従来は国立・国定公園内では自由な開発ができない状況だった。しかし、エネルギーミックスで再生可能エネルギーの利用比率を高める方針を出していることから、国立・国定公園内での地熱発電への規制緩和を実施。建物の高さ制限の緩和や、従来許されていなかった第1種特別地域の地下にある地熱資源まで周辺地域から掘削することなども可能となった。
しかし、これらの状況に対しても現実的には十分ではないとJOGMECは指摘する。「利権関係の整理や環境アセスメントなど、地熱発電には投資してから回収に至るまでのサイクルが非常に長くなり、発電所としての成功が見えていたとしても非常に投資しにくい状況にある。本来的には第1種特別地域など最短のところで直接やりたいというのが業界の本音だといえる」(同担当者)。
一方で、これには地熱発電設備側の課題もあると同担当者は指摘する。「現在の地熱発電では、高温の蒸気を短い時間に非常に多く吸い上げなければ十分な発電効率を得られない。そのため、現在の技術で採算の合いそうな地域は、既に地熱発電所が設置されているところに限られているといえる。既に発電所のある地域の近郊で増やしていくしかない」と述べる(図3)。
今後地熱発電をさらに多く普及させるためには「技術的なブレイクスルーが必要だろう」と同担当者は述べる。「例えば、蒸気の温度が低くてすむや、必要な量が少なくてすむなどの、技術的なブレイクスルーが起きれば、建設最適地が大きく増える可能性がある」(同担当者)と述べている。
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