こうした考えのもと、京セラでは自立電源時代に向けた総合ソリューションを用意する。住宅向け太陽電池では新ブランドの「Rooflex」を3月に発売し展開を開始した。「RoofleX」は、限られた屋根スペースを効率的に活用し、屋根全体での発電量の向上を実現することをコンセプトとした住宅用太陽電池である。日本の屋根に最適化しより多くのモジュールを載せられるように「尺寸」を採用した他、7種類のモジュール形状を用意したことで、屋根全体の発電量を最大化することが可能だ。「ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の普及促進の動きもあり、屋根全体やライフサイクル全体での発電総量がより重要になってくる」(戸成氏)(図2)。
その他、蓄電池システムでは、太陽光発電による電力を直流電力(DC)のまま直接蓄電できる「DCマルチリンク蓄電池」を訴求。DC/AC変換の回数を減らすことができるために充電効率を高めることが可能となる。「自家消費時代を考えれば、効率よく蓄電池に電力をため、一度の変換で効率よく、使うということが求められる」と戸成氏は述べる(図3)。
地産地消や自立電源化などへのニーズが高まれば、太陽光発電設備を継続的に維持・管理し、効率のよい発電を維持していく必要性が高まる。こうしたニーズに応えて京セラでは、産業用太陽光発電設備のO&M(運用管理・保守点検)サービスを、自社製品以外の設備に向けても開始する。戸成氏は「継続的に日本を拠点に太陽光発電事業を展開してきたノウハウや強みがある。技術力はもちろん、長期間保証を続けるには信頼性などが必要となるが、その点では強みがあると考えている」と述べる。
さらに家庭向けでもHEMS(ホーム・エネルギー・マネジメント・システム)の展開と合わせて見守りサービスの展開なども計画。新たにHEMSコントローラーを参考出品し、HEMSコントローラーとクラウドサーバの組み合わせでAI(人工知能)機能を実現し、自家消費を最適制御できるようなサービスも展開予定だとしている(図4)。新たな家庭向けHEMSサービスは「見守りす」として、展開する。
戸成氏は「太陽光発電の遠隔監視は低圧では導入していない設備も多く、こうした需要の取り込みを狙う。さらにこれらの知見を生かし家庭向けでも同様のO&Mのようなサービス展開を進めていく」と述べている。
連載:「変転する太陽光発電市場」
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